君たちの愛には敵わない ページ24
「いつかこの場所も無くなるってことはわかってる。でも、それを壊されるのは今とちゃう、あんたじゃないっ、!」
涙を流しながら私の胸倉を掴むショッピ君。そんな表情もできるじゃない。無気力そうな君も随分顔が整ってるけど、何かに必死になる君の方がずっといい。
・
『取らないよ』
力が、緩んでく。
『私なんかがショッピ君の場所、取れるわけがない』
頬を伝って落ちたショッピ君の涙、真珠みたい。
『コネシマ君たちにとって大事な後輩は君だし、君にとって大事な先輩はコネシマ君たち。そんな信頼関係、入り込めるわけがない。ゾム君だって私の事過大評価しすぎだよ。私は、私の命が惜しくての行動だった。確かにゾム君に恐怖を経験してほしくなくて、彼の腕を引っ張ったかもしれない。でもだからって、彼にとって私は"命の恩人"ってだけの人だよ』
「でも、A先輩がそうでも、コネシマさんたちは確実に、あんたに絆されていってる」
『それでもだよ。例えそうだとしても、私はショッピ君じゃないから君と同じ愛は貰わないよ』
「愛とか、気持ち悪い、」
『与えられて損はしないものでしょ。コネシマ君は少なくとも、君の話をするときは楽しそうに、嬉しそうに話してる。これも、一つの愛でしょ?』
君もちゃんとコネシマ君に大切にされてる。それが目に見えてわかる。
『信じてあげなさいよ、コネシマ君たちを!』
強引に彼の涙を拭けば、大人しくされるがままに動きを止める。胸倉を掴んでいた手はとっくに離され。意外と素直な子なのだと思う。
・
・
「みぃつけた」
忘れていた。視聴覚室の扉越しに聞こえた可愛らしい声。でも、癒されることはない。恐怖を煽られるばかりだ。
ガタガタと扉が動き出し、思わず叫びそうになったのを手でふさぐ。カギはかけた。だから開くはずがないのに、
ガチャリ
一番最初になくなる赤いクレヨン→←世界は君たちだけで十分だったのに
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@眠猫。(プロフ) - 弓矢さん» 最初はホラーと恋愛の混合が難しく、挫折しそうになりましたがそう言っていただけて本当に最後まで書き続けてよかったなと思います。しばらく更新の予定はないですが、どこかで番外編など書けたら楽しそうだなとは思います。その時はまた、読んでいただけると幸いです。 (2022年1月10日 20時) (レス) id: 91126b09d4 (このIDを非表示/違反報告)
弓矢(プロフ) - みんなかわいくて素敵で好きです。私の少ない語彙だと上手く言えませんが、空気感も好みで尚且つそれが直に伝わる様で読んでてとてもゾクゾクしました。最後の方もゾクゾクしつつも一周回ってワクワクしながら読み進めました。とても面白かったです。有難うございます。 (2022年1月8日 8時) (レス) @page50 id: 8d1caf834f (このIDを非表示/違反報告)
@眠猫。(プロフ) - 李白さん» 初めまして。この度は数ある作品の中から私の作品を読んでいただき、ありがとうございます。完結して2か月ほど経ちましたが、まだこのような言葉を頂けることに感無量です。お時間ありましたら是非、また覗いてやってください。またどこかで会えますように。 (2022年1月2日 20時) (レス) id: 91126b09d4 (このIDを非表示/違反報告)
李白 - 初めまして。作品全て読みましたが解説を見て鳥肌が立ちました。最高です。この作品に出会えて良かったです (2022年1月1日 11時) (レス) id: 1cec622168 (このIDを非表示/違反報告)
@眠猫。(プロフ) - このはさん» 返信遅くなりました。この度は私の作品を読んでいただきありがとうございます。練りに練ったお話だったのでそう言っていただけるととても嬉しいです。またどこかで会えましたら、よろしくお願いします! (2021年11月16日 22時) (レス) id: 91126b09d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:@眠猫。 | 作成日時:2021年8月28日 17時