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手の鳴る方へ ページ20

生徒会といるときに私は怪異に巻き込まれる。その仮定は未だ立証されていない。憶測でしかないから、グルッペン君たちに言えるわけもなく、兎に角彼らと二人きりにならないように努めているだけだ。


『ねこ』


 課題を教室で少し進めて、暗くなる前に帰ろうと窓を覗くと裏庭に猫がいた。黒色の、まん丸い目。羨ましい。校則で猫に餌をあげるのは禁止されているが、バレなければいいだろう。裏庭へ駆け下りて、何かあげれる物はないかと鞄を漁っていれば、影がかかる。



「…お腹壊すんで、何でもかんでもあげん方がいいですよ」



 鞄から手を抜き出し。立ち上がってその場を離れようとする。それでも、ショッピ君は私の手を掴んで、前に進むことを許可してくれない。



『…何、』
「コネシマさんだけじゃなくて、ゾムさんにまで手出してるんですか」
『出してない』
「でも手を繋いで校舎を出るの、俺は見ました」
『……もしかして、君が噂流したわけ?』
「そんなめんどくさいことするわけないでしょ」



 腹立たしい。言いたいことはちゃんと言えばいいのに。単刀直入って言葉あるでしょう。何を恐れているのか、この男は。



『はっきり言いなさいよっ、』



 少し声を荒げたから、猫が足音を立てて離れていく。そしてあろうことか、旧校舎に入ってしまった。



 彼は私を一睨みすると猫を追いかけていく。小さくなっていく背中を見届けながら、背中に冷汗が垂れる。そういえば、彼はコネシマ君の後輩だと言っていた。確か生徒会には、1年生も居たはず。彼らは絶対に、知らない人を生徒会に入れたがらない。彼らには彼らの輪があるのだ。と、いうことは、





『だめ、入っちゃダメっ!』






 旧校舎に踏み込んだショッピ君の腕を掴む。案外細い腕に驚きつつも、黒猫は廊下を進むばかり。


「なんなんすか、」
『ダメ、とにかくダメ!』


 この状況で、怪異に巻き込まれるからと言っても絶対に信じてくれない。だからと言って、君もこっち側に来ていい理由にはならない。折角、何も起きてないんだ。このまま、何も起こらず、




 その時、背中に何かが触れた。








『え』





























 背中がふわりと押され、ショッピ君ごと旧校舎に入る。







『開かない、』





 扉が、開かない。

死なばもろとも、生きてももろとも→←愛が綺麗だってことは、知ってた



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@眠猫。(プロフ) - 弓矢さん» 最初はホラーと恋愛の混合が難しく、挫折しそうになりましたがそう言っていただけて本当に最後まで書き続けてよかったなと思います。しばらく更新の予定はないですが、どこかで番外編など書けたら楽しそうだなとは思います。その時はまた、読んでいただけると幸いです。 (2022年1月10日 20時) (レス) id: 91126b09d4 (このIDを非表示/違反報告)
弓矢(プロフ) - みんなかわいくて素敵で好きです。私の少ない語彙だと上手く言えませんが、空気感も好みで尚且つそれが直に伝わる様で読んでてとてもゾクゾクしました。最後の方もゾクゾクしつつも一周回ってワクワクしながら読み進めました。とても面白かったです。有難うございます。 (2022年1月8日 8時) (レス) @page50 id: 8d1caf834f (このIDを非表示/違反報告)
@眠猫。(プロフ) - 李白さん» 初めまして。この度は数ある作品の中から私の作品を読んでいただき、ありがとうございます。完結して2か月ほど経ちましたが、まだこのような言葉を頂けることに感無量です。お時間ありましたら是非、また覗いてやってください。またどこかで会えますように。 (2022年1月2日 20時) (レス) id: 91126b09d4 (このIDを非表示/違反報告)
李白 - 初めまして。作品全て読みましたが解説を見て鳥肌が立ちました。最高です。この作品に出会えて良かったです (2022年1月1日 11時) (レス) id: 1cec622168 (このIDを非表示/違反報告)
@眠猫。(プロフ) - このはさん» 返信遅くなりました。この度は私の作品を読んでいただきありがとうございます。練りに練ったお話だったのでそう言っていただけるととても嬉しいです。またどこかで会えましたら、よろしくお願いします! (2021年11月16日 22時) (レス) id: 91126b09d4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:@眠猫。 | 作成日時:2021年8月28日 17時

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