釘崎と同郷の女の子は考え方もちょっと変 [呪術廻戦]

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「次はどこに行こうか？」

その人の口が動き、その人の胸が私の耳のそばで上下したのがわかって、私はようやく先ほどから語りかけている誰かが彼で、語り先は私であることに気がついた。

「……。」

私は、どこに行きたいのだろう。

帰りたい、と不意に思った。けれどその思考の先で帰るべき家とそこに住む家族の具体的なイメージが掴めず、違うなと思った。

ならどこに行きたい？何がしたい？

何も浮かばない。けれども何かをしなければいけないという漠然とした不安と焦りだけが脳の奥にこびりついている。

動かなければ。そう思って私は口を開いた。

「外に。」

私の声を聞いて、冬空色の彼はすこし首を傾げた。

「外に、行きたい。」

私の不安と焦りの対象は、いつだって外に生きていた。内に籠り、なにもすることがないなら死んでしまおうか、と考えていた私を窓の外から手招いていた。

外に出よう。外の世界を見よう。外で生きよう。ここではきっとあなたはあなたとして死ぬことすらできないよ。

外の世界で生きる誰かがそう言ってくれた、ような気がする。

「外か……。」

冬の人は呟いた。

「もう外にいるのに、ここよりも外に行きたいって言うのか。それとも、この子が考えている外と俺が考えている外は違うのかな。」

面白い、と男は笑った。デートらしくなってきた、と言って男は一歩歩み出した。その瞬間、私たちの体が中に浮いた。

深く深く落ちていく。沈むと表現するにはあまりにも早すぎる風の動きの中で私はなんとなく、この人が私を連れていく先に私が生きれる外はないのだろうと感じた。

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