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「最近何かお家でへんなことないっスか?家族の中で自分だけが感じる違和感とか。」
新田さんがそう尋ねると、藤沼さんは実家のお店で自分が帰る時だけ自動ドアが開きっぱなしで、そこに何かいる気配がすると答えた。
完全に呪われてるじゃん、と私は炭酸水を飲みながら思った。
「そうだ、伏黒君。」
藤沼さんは当時一緒に肝試しに行ったメンバーを思い出しながら、ふいにそういった。
「あの時津美紀さんも一緒にいたよ。」
津美紀さんという名前に野薔薇、虎杖くんの表情が硬くなった。なぜならそれは伏黒君のお姉さんの名前だからだ。
「そうか。じゃあ津美紀にも聞いてみるわ。」
伏黒君はなんでもないような顔でそう言ったけれど、それは藤沼さんの手前で不安にさせないための演技だった。
藤沼さんとその弟さんが頭を下げ、帰宅していったのを見送った後、伏黒君は冷や汗をかいていた。
「伏黒!!」
そんな伏黒君を見て、虎杖君が声をかけた。
「しっかりしろ!!まずは安否確認だろ!!」
肩を掴まれ、ハッとした伏黒君は静かに「大丈夫だ。」と呟いて、険しい顔のまま「悪ィ、少し外す。」と言って何処かへと行ってしまった。
しばらくして戻ってきた伏黒君に野薔薇が真っ先に聞いた。
「なんで伊地知さんと話してんの?」
「津美紀の姉ちゃん無事だったか?」
虎杖君はそう聞いた。すると伏黒君はさらっと言葉を返した。
「問題ない。それより任務の危険度が釣り上がった。この件は他の術師に引き継がれる。オマエらはもう帰れ。」
突然そう告げる伏黒君に野薔薇と虎杖君は困惑していた。私はそんな二人を眺めながら、伏黒君は意外と嘘が下手だなと思った。
「オマエらって伏黒は?」
「俺は武田さんに挨拶して帰る。ほら行け!!」
それだけいうと伏黒君は私たちを車に無理やり乗せた。野薔薇と虎杖君は後部座席に、私は助手席に座った。
バタンと扉が閉められた後も虎杖君は伏黒君の方を眺めていた。私は野薔薇の方に目配せをした。野薔薇もなんとなく察して入るんだろう。私と目が合うなり、野薔薇は小さく頷いた。
「ヘイ、Monosiri。」
ピコンという軽快な音が車内に響いた。
「意地っ張りの口のわらせ方、で、検索。」
「小松口悪っ!」
虎杖君の叫びも、車内の響いた。
「野薔薇、の、真似、です。」
「騙されないで。この子嘘つく時に謎に敬語になるから。」
野薔薇の言葉に、私は頰を掻いた。私も存外、わかりやすい嘘をつくらしい。

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柑橘(プロフ) - 尊都さん» ご指摘ありがとうございます!変更させていただきました。またなにかお気づきの点があればコメントください。 (11月26日 3時) (レス) id: 3b878783b1 (このIDを非表示/違反報告)
柑橘(プロフ) - 稔米さん» ありがとうございます!五条先生とはギスギスして欲しいのでこのまま緩くやっていきたいです。 (11月26日 3時) (レス) id: 3b878783b1 (このIDを非表示/違反報告)
柑橘(プロフ) - わかたくさん» ありがとうございます。更新頑張ります! (11月26日 3時) (レス) id: 3b878783b1 (このIDを非表示/違反報告)
尊都(プロフ) - 五条先生ってみんな下の名前じゃありませんでした? (11月26日 2時) (レス) id: 6a52012404 (このIDを非表示/違反報告)
稔米 - 好き過ぎます!なんかこれから色んな事実が発覚してくのかなーと楽しみにしておりマス!私は五条さんとの絡みが好きです!なんか甘々じゃない感じの…w (11月25日 22時) (レス) id: 861890d0d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柑橘 | 作成日時:2020年11月24日 1時