精一杯のおはようを君に sideA 「R」 ページ3
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あのね、レイさん。いつもその笑顔でおはようなんて。ていうか先に言うのやめて、私が返せなくなる。あんたのせいよ、あんたの。あんた以外には普通に挨拶返せるのに。
なんて本人には絶対言えない自分だけの秘密である。
いつも朝起きてきたら、レイとノーマンが先に起きていて、ご飯の準備をしている。そのあとが問題だ。ノーマンがAに気づいたら、何故か真っ先に、レイにそのことを伝える。いや、挨拶してよ。君には挨拶できるんです！そしたらレイは、あの笑顔で「おはようA」と言う。それがAにとってはたまらない。だって好きな人から先に挨拶されて、それがいい笑顔なんだもの。まともに挨拶を返せるわけがない。
仕方ないから挨拶は返すも、私の「おはよう」はぎこちないものになってしまう。それが一番わかりやすいってノーマンに指摘されてしまったが、彼は「きっと眠いんだろう」と受け取ってくれているらしい。それがAにとっては唯一の救いだった。
エマは色恋沙汰になんてめっぽう興味も無く、鈍感で、それはレイに対してもほぼ同じことが言えるだろう。Aはそれが少し嫌だった。
だってそんなの、向こうが恋に興味を示していないのなら叶わない恋じゃない。
相手が恋をしていない限り、叶わない恋で終わってしまう。そんなに辛い恋などない。
でも、伝えない限り想いなんて、恋に興味を示していないのであればそれはそりゃあ届くわけがない。伝えなかったら後悔は続くであろう。が、しかし、わかりきった返事ならば伝えたら伝えたで後悔してしまう。
………なんだこの矛盾は。
だからこそ、精一杯今を過ごす。いつか伝えられる日が来るまで、君が恋を知る日が来るまで。あわよくば、君が一番に好きになる人が私だったらいいな、なんて。君の初恋が私だったらいいな、って。そんな風に思ってしまう。
あぁ馬鹿だな私、なんて強欲な人間なんだろう。
そんな事を考えながら眠りに落ちて、そしてあっという間に朝が来た。
君への想い、伝わるのはいつだろうか。
今日もレイとノーマンは先に準備をしていた。降りてきた私にノーマンが気付く。そしてレイは振り返って私に「おはよう」を言う。
いつもの事だ。でも今日はいつも通りに終わらせない。
「レイ、ノーマン、おはようっ！」
Aはいつもより元気に、そして笑顔で二人に挨拶を返した。
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蜜柑の樹(プロフ) - ヤシの実さん» ありがとうございます！ノーマンサイド…成程、またいつか書かせて頂きますね、ご意見ありがとうございます！凄く嬉しいです。是非今後とも応援よろしくお願いします！ (2019年3月20日 22時) (
レス) id: ece34a1d58 (このIDを非表示/違反報告)
ヤシの実 - 初めまして！「作戦の行方〜」と「君の幸せを〜」が大好きです！！レイサイド切なかったです、、、ノーマンサイドもお時間があれば読んでみたいな〜と思ったり(笑) 勿論！他の作品もとても素敵でした^^* 更新楽しみに待ってます！ (2019年3月19日 21時) (レス) id: ad6942667d (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑の樹(プロフ) - moca.sararenonさん» おわああああ！めっちゃ嬉しいです！更新…はい。頑張ります！(ちょっとテストだったもので…(言い訳)) (2019年3月2日 17時) (レス) id: ece34a1d58 (このIDを非表示/違反報告)
moca.sararenon(プロフ) - とっても面白いです！！！！更新頑張ってください！すごく読みやすくて、一気に読んでしまいましたああ！更新頑張ってください！ (2019年3月1日 15時) (レス) id: 86f2d024d7 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑の樹(プロフ) - 暁ーあかつきーさん» 早速ありがとうございます！ご期待に添えるよう頑張ります！ (2019年2月5日 22時) (レス) id: ece34a1d58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蜜柑の樹 | 作成日時：2018年8月8日 11時
