君の姿なら幾らでも ｢R｣ ページ17
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｢それ……｣
レイに言われて慌てて隠す。ものの、バレてしまった。いけない。
少しだけ、気まずい雰囲気が漂ってしまう。
『何のために』と言われれば、返す言葉も無いのだが、言い訳のために準備してきたことだってあるのだ。今よりちょっと雑だけど。
｢みんなをね…スケッチしてたの。外に出てみんなを忘れないために。こつこつ。今となってはそれも意味ないんだって分かってても…やっぱり習慣ついちゃってるみたい。｣
ママから貰ったスケッチブックに、毎日スケッチしてきた。…主にレイを。見せて、と言われたら即終了。アウト。ほぼほぼレイしか描いてない。
｢Aって絵上手かったよな。スケッチのおかげなのか？見せてくれよ。｣
無邪気に笑う笑顔は、いつものクールなレイとは違って、好奇心丸出しで少し新鮮だった。そんな事を考えているうちに、｢いいよ｣と流れでスケッチブックを渡してしまう。『上手い』の一言ですっかり気が抜けてしまっていたらしい。
…やばい。と思った時には既に遅い。
目を丸くしながらページをめくるレイの姿が目に映る。
｢おい、これ…｣
そんな問いに、目を合わせることも出来ず、｢何のこと？｣としらばっくれる。汗をだらだら流しているのはレイにバレて欲しくないが、それも無理な話だろうな。と呑気に鉛筆を回す振りをする。呑気に…はいてられない。なんで渡してしまったのか。まさに後悔先に立たずである。
エマやノーマン、アンナにフィル、ナット、アリシア…別に皆を描いてないわけじゃないのに、驚くほどレイの数が多いのは確かである。
｢…動いてないからね、レイは。｣
と苦し紛れに、ポソッと呟いてみるも、何も聞こえなかったかのようにしている。
｢それにしても、よく描けてるな、俺。｣
『俺』という言葉を強調しているのは、もう悪意丸出し。さっきの好奇心の溢れたレイは何処へやら。
｢私が描きやすいだけじゃない、レイが。きっとそうだわ。さ、返してよ。まだスケッチしたいの。｣
そう言って手を差し出せば、思ったよりもすんなりと返してくれる。絶対ニヤニヤしているだろうな、と思ってなんとも言えない顔をして彼を盗み見るが、意外にも照れているようで、顔を空いている腕で隠している。
｢バッ…！！そんな顔しないでよ！照れるでしょうが！｣
回復したと思った気まずい雰囲気は、結局悪化したまま戻らないのであった。
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蜜柑の樹(プロフ) - ヤシの実さん» ありがとうございます！ノーマンサイド…成程、またいつか書かせて頂きますね、ご意見ありがとうございます！凄く嬉しいです。是非今後とも応援よろしくお願いします！ (2019年3月20日 22時) (
レス) id: ece34a1d58 (このIDを非表示/違反報告)
ヤシの実 - 初めまして！「作戦の行方〜」と「君の幸せを〜」が大好きです！！レイサイド切なかったです、、、ノーマンサイドもお時間があれば読んでみたいな〜と思ったり(笑) 勿論！他の作品もとても素敵でした^^* 更新楽しみに待ってます！ (2019年3月19日 21時) (レス) id: ad6942667d (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑の樹(プロフ) - moca.sararenonさん» おわああああ！めっちゃ嬉しいです！更新…はい。頑張ります！(ちょっとテストだったもので…(言い訳)) (2019年3月2日 17時) (レス) id: ece34a1d58 (このIDを非表示/違反報告)
moca.sararenon(プロフ) - とっても面白いです！！！！更新頑張ってください！すごく読みやすくて、一気に読んでしまいましたああ！更新頑張ってください！ (2019年3月1日 15時) (レス) id: 86f2d024d7 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑の樹(プロフ) - 暁ーあかつきーさん» 早速ありがとうございます！ご期待に添えるよう頑張ります！ (2019年2月5日 22時) (レス) id: ece34a1d58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蜜柑の樹 | 作成日時：2018年8月8日 11時
