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「いつだって傍にいたのは君だった」


俯きながら低い声でそう呟いた彼の表情が分からない。


「だからこそ、離れないといけないと思うんだ」


今度は少し強張った声が私の耳をかすめた。


「でも、何処にいたって一緒だから」


最後に見えた顔は驚くほど綺麗に笑っていて、

だから私も大きく頷けたのかもしれない。


君がいなくても大丈夫。

一人でやっていけるよ。


そう思いながら日々を過ごしてみると、

自分は元々一人だったということに気付いた。


暗闇の中でもがいていた私に手を差し伸べてくれたのは、

隣で共に笑って、共に泣いてくれたのは君だった。


だから空を見上げる度に思える。


何処にいても君と私は一緒なんだ。


一瞬吹いた柔らかい風がとても心地よく感じられて、

私はまた青空に向かって大きく笑った。

建前。→←思いは同じ。


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作者名:柚木姫歌 | 作成日時:2011年7月24日 5時

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