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8節目 ※ややグロテスク注意※ ページ9

〜ある少女の夢より〜

手が生暖かい。

見れば、そこには赤い、赤い何かがべったりと大量に付着していた。

女の子座りの状態の足を少し動かしてみると、べちゃ、と湿った音と、何かに当たった感覚。

ごとりとそれはころがって、自分から先ほどより少し離れた所で止まった。

それは、歪な形をしているが、間違いなく、人間の頭部だ。

ちょっぴり残った頭髪が、自分と同じ、銀灰色だという事に気付くのに、

随分と時間がかかった気がする。

目玉はぎょろりとあらぬ方向をむいて、歪んだ口はすでに呼吸を放棄している。

この姿になったときに、呼吸なんてしていたのかすら、少し疑問だけれど。

それでも間違いなく、自分の家族だったそれに、自分は無意識に手を伸ばしていた。

ふと、その手が近くにあった何かに当たり、カランと軽い音を立てる。

それを持ち上げてみると酷く手に馴染んで、まるで使い慣れたもののように、

ずっとそれを持っていたようにすら思える。

「あぁ。」

吐息のような、あるいは押し殺した悲鳴のような。

言葉にすらならない音は、暗闇の中に吸い込まれるようにして消えた。

(ああ、なんて、喜劇なのでしょう!)

感激のような、あるいは悲嘆のような。

手の中にあるそれは、先ほど貫いたものから付着した赤いものをぬらりと輝かせている。

(ああ、ごめんなさい、神様。ごめんなさい、ごめんなさい。)

私はなんと綺麗で、なんと汚らしいのだろうか!

私はなんと賢くて、なんと愚劣なのだろうか!

こみ上げてくる笑いと、後悔と自責の念。

(神様、この身は、やはり出来損ないでした!)

いっそすがすがしいほどの嫌悪感。

ぼろぼろと流れていく透明な粒は少なすぎて、その赤を洗い流すことはおろか、

薄めることすら出来なかった。

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設定タグ:魔法少女は星に詠う   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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ゆずぽん(プロフ) - 実麗@受験生(建前)さん» あああ、ありがとうございます!そう言っていただけると幸いです……! (2017年11月26日 22時) (レス) id: 557f97ce01 (このIDを非表示/違反報告)
実麗@受験生(建前)(プロフ) - ゆずぽんさん» いえいえ!格好いいアクションシーンに一役買えただけでも嬉しいですし (2017年11月26日 18時) (レス) id: 58144b90d3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずぽん(プロフ) - 実麗@今年の誕プレは9mm口径モデルガンだったさん» ありがとうございます!折角貸してくださったのに、出番少なくてすみません・・・・・・。 (2017年11月26日 17時) (レス) id: b5c0886d76 (このIDを非表示/違反報告)
実麗@今年の誕プレは9mm口径モデルガンだった(プロフ) - 完結おめでとうございます!アンタレスを使って頂いてありがとうございました〜*^^* (2017年11月26日 9時) (レス) id: 80fcad1283 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずぽん(プロフ) - ありがとうございます!使わせていただきます! (2017年11月11日 20時) (レス) id: b5c0886d76 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆずぽん | 作成日時:2017年9月13日 0時

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