123回 ページ25
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6限目。クラスが全体的に1日の疲労と眠気でどんよりと沈むのがこの時間だ。カーテンをも閉め切ったこの教室はものすごく空気が重たい。
反応のない生徒にただひたすら、一方的に語りかけるのがこの化学の時間。
いつもは沈むはずの気分は少しだけ上がっていた。
永瀬に返された時見覚えの無い紙が挟まっていた。
今も尚私の視界でその紙、ルーズリーフは存在を主張していた。
気になって引き抜けば表側の上の方に永瀬の字があった。
教科書の余白では物足りなかったのだろう。
"ひまーひまー"
"暇やからアイツのねって言った数数えるわ"
"50分間で123回やで。やばない？"
"ここまで数えた俺もすごいわー"
くだらないな、と思いながらも口角はだらしなく上がってしまっていた。それを誤魔化すように頬杖をつく。
"123回って永瀬の誕生日じゃん"
とりあえずそれだけ書いて私も数えよう、と意気込み先生の話に耳を傾ける。
この先生は ね という単語を出す回数が多い。
優太が前にあいつ1人で分節切ってるよなーと言っていたのには物凄く笑ってしまった。
しかしやっぱり眠気というものに人間は抗えないらしい。
きっと揺れていたであろう。
ハッとして体を起こして。またハッとして体を起こす。
そんなことを繰り返していれば終わりの時間は直ぐにやってくる。
私が眠気から覚醒したのは終了5分前だった。
うわ微妙、と思いつつまだ1行しか書いていない文面に目を走らせた。
そういえば廉って今度言う約束してたな。
…これならいっか。
永瀬と書いてあった箇所を消して廉と書き直す。
書くだけでも少し恥ずかしいが知らんぷりをしよう。
"123回って廉の誕生日じゃん"
"私も数えようとしたけど寝ちゃった"
"よく数えられたね"
きりーつ、と眠そうな学級委員の号令でどんよりとしていた空気が少し軽くなった気がした。
ありがとうございましたを言い切る前に動き出す生徒。
その中にはこちらに駆け寄ってくる優太もいた。
慌ててルーズリーフを教科書に挟んで問題集の下に敷いた。
「A！！今日ラーメン食い行こ！」
『え、あぁ…あれガチのヤツ？』
「うん、ガチ」
『いいよ、行こ。』
「っしゃあ。じゃあ7時？ぐらいに迎え行くわ」
『テスト前最後ね』
「おー、テスト前最後のデートか。楽しもうぜ」
『デートがラーメンとか最悪じゃん』
彼とのやり取りが私の中で楽しみの一つになっていることに間違いはなかった。
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さくさくぱんだ(プロフ) - 完結おめでとうございます！読み度涙が止まりませんでした…。続編是非読みたいです!!!! (2020年1月3日 5時) (
レス) id: e39a486ce6 (このIDを非表示/違反報告)
ふみか(プロフ) - 完結おめでとうございます。続編本当に待ってます！！！！！！一生のお願い！笑笑 (2019年12月15日 23時) (レス) id: cdb1cf462c (このIDを非表示/違反報告)
yimm(プロフ) - 完結おめでとうございます！afterstoryぜひ読みたいです☆ (2019年12月15日 15時) (レス) id: 72bd3737bf (このIDを非表示/違反報告)
寧々(プロフ) - 思わず一気読みしてしまったんですが、泣いてしまいました(;o;)是非after story読みたいです！ (2019年12月15日 13時) (レス) id: dfd709edb9 (このIDを非表示/違反報告)
ちな - 完結おめでとうございます！最後キュンキュンもしたし、涙も出てきて………時間があるのなら、アフターストーリー読みたいです！楽しみにしています！！ (2019年12月15日 9時) (レス) id: 047315094b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚木 | 作成日時：2019年10月16日 22時
