95 茜side ページ1
ホントに少しですけど、あはーんな感じ?があります。
×××××
百瀬「そこ、閉めてください」
百瀬さんはベッドに横になっていて、俺に内鍵を閉めるように言った。
正直不安だけど、言う通りにする。
後ろ手で鍵を閉めた。
百瀬「ここ、防音なんですよ」
『そ、そっか。あの…』
百瀬「退部、するんですか?」
百瀬さんは起き上がって俺を見、静かに笑った。
手が震えるのを必死で押さえる。
『う、』
ほんの一度。一度頷けば終わるのに、自分の喉が不自然に浅い呼吸を繰り返すだけで機能してくれない。
やめたくない。
俺にチャンスをくれたみんなと、もっとバレーがしたい。
『う、…………う、ん』
頷いたあと、ギュッと目を瞑った。
………終わった。
百瀬さんが満足げに鼻を鳴らし、
百瀬「じゃあ、最後にひとつお願いしても良いです?」
と、”最後“を強調して言った。
ベッドから立ちあがり俺を壁際に追いやる。壁に背中がついた。
百瀬「花巻せんぱいのスマホ、これで壊してください」
カバンから出した何かを押し付けられた。
受けとるとずっしりとした重み。
『……っ、』
ごくりと喉が鳴った。
工具だった。数人の男子にこれで殴られたのを覚えている。
…ヤバい、息が出来ない。
『こ、れで』
百瀬「そぉ、花巻せんぱいのスマホ、壊してきてください。私を盗撮した動画、いっぱい入ってるらしいんやで」
証拠、ってやつやなぁ。って彼女は笑う。
証拠なんか、どうでもいい。
花巻のものを?俺に壊せと、そう言ってるのか。
『む、無理。それは無理…他のことならなんでもするから』
百瀬「うーん…しゃぁないかぁ…………じゃあ、」
じゃあ、と言ったところで百瀬さんは、おもむろに着ていた半袖のTシャツを脱ぎ始めた。
『…は、』
俺の目が点になる。
目の前には、下着姿の百瀬さん。
天童に聞いていた情報と違って、ちっとも興奮
なんてしなかった。
ただ、怖い。それだけだ。
百瀬「私に、覆い被さってください。…………………早く!!」
ベッドに横になった百瀬さん。
言われた通りにベッドの上に乗ると、腕を引かれて彼女の顔の両横に手をつく形になった。
すると、
百瀬「きゃあっ!!やめてくださいっ!!!誰かーーーーーっ!!!」
…唐突に、百瀬さんが叫んだ。
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ささくれ - すいません文字数の問題と補足?を…! こんなに感情移入したの初めてです!ほんとにありがとうございます!長文失礼しました! (3月15日 17時) (レス) id: accd3cfdde (このIDを非表示/違反報告)
ささくれ - 読み出すと止まらなくて最後まで一気に読んでしまいました…! 茜くん可愛い…優しい…と思いながら私はやっぱり百瀬(さん)の事が許せなくて、でも最後に「謝れたら」って思ってるどこまでも優しすぎる茜くんに泣きました…… こんな凄い感動作をありがとうございます! (3月15日 17時) (レス) @page38 id: accd3cfdde (このIDを非表示/違反報告)
春千瑠 - 一気読みさせていただきました!afterstoryまで完璧過ぎました……超絶面白かったです❗ (2022年12月4日 22時) (レス) @page38 id: 6c259301f0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきと - 角名は、関西弁じゃないですよ(・∀・) (2022年8月9日 4時) (レス) @page14 id: 383073ea28 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこ - むちゃくちゃ面白かったです!! (2022年8月3日 17時) (レス) @page38 id: ed83340cb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蟹江 | 作成日時:2020年7月12日 11時