深澤さん 誕生日編 ページ32
〈深澤side〉
今年の誕生日は奇跡的にお休みを貰えた。
今日は美味しいものを食べようと、
メンバーが美味いと言っていたラーメン屋へ。
のれんをくぐるとラーメンのいい匂いと
店主の元気な声に歓迎される。
カウンター席に座りメニューを見ていると、
横目に見覚えのあるシルエットが。
メガネをかけ、ラフな格好をしているが
間違いない。 Aだ。
『多め、硬め、普通で。』
1人ラーメンにも驚いたが、注文が手馴れている...
もしかして、Aがオススメしてたのか?
そんなことを考えていたが、俺も腹がへった。
ラーメンと餃子のセットを注文し、完成を待つ。
Aの注文したラーメンが届けられ、
いただきますと小さくつぶやく声が聞こえた。
レンゲを持って、スープを1口。
Aは小さく頷くと、麺をすすった。
気持ちいいほどに勢いをつけてすする音に
耳をすましていると、俺の頼んだ
ラーメンセットも手元に届いた。
Aと同じように最初にスープを口へ運ぶ。
深「うまっ」
思わず声が出るほど美味い...
麺をすすり、大ぶりの餃子も食べる。
白飯を頼めばよかったと少し後悔したが、
ラーメンを食べていたらそんな後悔も
忘れていた。
夢中になってラーメンをすすっていると、
左からご馳走様でしたと呟く声が。
カウンターから立ち上がり、
レジへと進むA。
俺、気づかれなかったのか...
少しモヤッとしたが、後日のリアクションを
楽しみにしようと考えて、箸をすすめた。
あっという間に完食し、お会計へ。
「あっ、代金は受け取っております。」
深「えっ?」
「先程、ショートカットの女性が払われましたよ。」
こりゃ、1本とられたな...
あっちは俺に気づいて、分からない振りしてたのか。
退店すると、一通のLINEが
お誕生日おめでとうございます。
私がラーメン屋でニンニク多めにしてたの、
誰にも言わないでくださいね?
口止め料払っておきましたので。
漫画でしか見た事のないようなことが、
まさか自分の誕生日に起こるとは...
今度、メンバーに自慢しよ。
〈A宅〉
「えっ、お姉ちゃん!!
めっちゃニンニク臭いんだけど!?」
『...ごめん』
「また、1人でニンニクたっぷり入った
ラーメン食べたんでしょ!?」
『はい...』
「いくら人に会わないからってそれは控えて!!」
『気をつけます...』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1235人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柚葉(プロフ) - コメントありがとうございます。褒めて頂きとても嬉しいです。これからもよろしくお願いします! (2023年3月24日 21時) (
レス) id: bea541effa (このIDを非表示/違反報告)
りんごチョコポップコーン(プロフ) - 初コメ失礼します！兄の代わりで…という作品はよく見ますが、妹の代わりというのは新鮮で、思わず開いてしまいました！お話もさくさく読めて、その様子がしっかり想像できました！更新、頑張ってください！ (2023年3月24日 19時) (レス) @page7 id: 61d7d12311 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柚葉 | 作成日時：2023年3月22日 8時
