24 千年の恋人� 匳頻�side〉 ページ24
Aは元々、国の“英雄”である俺への貢ぎ物のひとつとして連れて来られた憐れな女だった。
女を差し出す代わりに、私達を護って下さい。
そういう意味の、簡単に言うと『生け贄』だ。
独り身の俺にとって女は、欲を満たす暇潰しでしかなかったが、Aは暇を潰すことも出来ぬほど、連れ帰った当初は部屋の隅で怯え、ガタガタと震えていた。
＊
屋敷に連れ帰って３日目の朝。
この２日間、布団にも入らず部屋の隅で夜を過ごしたのだろう。
無遠慮に戸を開け放つと、目の下にクマを作り虚ろな視線を投げてきた。
ろくに眠っていない事が窺える。
「はぁ…面倒だな…」
無意識に漏れるため息をついて、女の目の前に座り目線を合わせて問う。
「まだ名乗らぬか？」
「……。」
呼び名を聞きたいだけだが、ガタガタと目に見えて身体を震わせていて、もはや気の毒としか言いようがない。
「これでは何と呼べばよいか分からんな」
「……。」
「はぁ…どうにも面倒だ…」
話も出来ないほど怯える女を抱く趣味はないし、そんな女の世話は面倒以外の何ものでもない。
とりあえず、毎日の食事を作らせることにし、裏梅に預けた。
＊
「A、と言うそうですよ」
「裏梅…話したのか？」
「はい。さきほどやっと…」
「そうか…口がきけない訳ではないのだな」
あまりにも喋らないから、読み書き出来ず言葉を知らない器量無しとして、体良く贄にされたのかと考えていたが…
さすがにこの俺にそのような女を贈るはずもない。
おそらくあれは、極上の女だ。
＊
「お食事をお持ちしました」
「あぁ、ここへ持て」
Aは裏梅の指示通り、毎日毎食、俺に食事を運んできた。
そのたびに、部屋の隅で俺が食べ終わるのを無表情で待っている。
「美味いな…お前が作ったのか？」
「はい。お口に合ったようで光栄にございます」
１ヶ月後には、多少の会話が成り立つまでになった。
そこで、そろそろ伽くらい出来るだろうと、ある夜、部屋に呼んでみたんだが…
「宿儺さま」
障子に映る影が、深々と頭を下げた。
言葉遣いもだが、やけに丁寧に躾られた所作。
その辺の町屋の娘とは訳が違う。
「入れ。遠慮はいらん」
「はい。失礼致します」
だが表情は無感情極まりなく、身体のどこを触ろうと目をつぶったまま。
吐息は漏らすが甘く愛らしい声は出ない。
「つまらんな」
早々に欲を発散して切り上げ、Aの横に汗ばんだ身体を転がすと、仰向けで天井を見つめたまま、はだけた着物を手繰り寄せ、珍しくAから口を開いた。
*
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ゆずあ(プロフ) - みぃさん» ご愛読ありがとうございます！続編を楽しみにしていただけて嬉しいです(’-’*)♪ 近いうちにUPしますので、また遊びに来てくださいね！ 完結までよろしくお願い致します！(^人^) (2021年12月13日 0時) (
レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
ゆずあ(プロフ) - ミーコさん» ご愛読ありがとうございます！ 楽しんでいただけて私も嬉しいです(*´∀`)♪ 漠然と想い描いている最後を何とか文章に乗せて完結まで頑張りますので、よろしくお願い致します！(*-ω人) (2021年12月13日 0時) (レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます♪続編嬉しいです！楽しみにしてますね(人 •͈ᴗ•͈) (2021年12月12日 20時) (レス) @page50 id: c397bf8382 (このIDを非表示/違反報告)
ミーコ(プロフ) - 続編ありがとうございます!いつも楽しみながら読んでいます!続編がんばって描いてください!楽しみに待っています! (2021年12月12日 17時) (レス) @page50 id: b974f3c01e (このIDを非表示/違反報告)
ゆずあ(プロフ) - ミーコさん» 応援コメントありがとうございます！キュンキュンいただけて嬉しいです！宿儺&五条&虎杖との絡みとか書きたいことが沢山あって１話詰め詰め型ですが、完結まで頑張りますので、最後までお付き合いいただけると幸せです。(*^ω^)♪ (2021年11月28日 20時) (レス) @page33 id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆずあ | 作成日時：2021年11月6日 18時
