rainbow box！ 3rd

声を聞かせて ** ページ17

淳太




結局、
しげの王道アイドルパフォーマンスはあの日だけやなくて。






中間「 な、どしたん。どういう心情の変化よ。」


重岡「 んー。ちょっと模索中。」





一度聞いてみたけど、意外にも答えはあっさりしていて
むしろそれ以上つっこめない 。





もちろんデビュー曲とか、盛り上げ系の曲なら、
それはもう、申し分ないくらい元気に歌い上げる。

ただ、曲からはみ出さない、というか。


かっこいい曲ならとことんかっこよく
可愛らしい曲ならとことん可愛らしく


曲の世界観のなかで、誰よりも美しく模範的に、
アイドルとして表現するようになった 。









「 いや俺は楽しいねん！！笑ってまう！」


いつかの、そんな言葉が懐かしいな 。















小瀧「 な、淳太。最近のしげ、どー思う？」





まだ全員は集まってない楽屋で、
のんちゃんがぽつりと話しかけてくる。






藤井「 俺こないだ歌番組のプロデューサーに言われてん。
ウエスト雰囲気変わったねって。」


中間「 それは、どういう意味なん？」


藤井「 や、たぶん普通にいい意味やと思う。
でもさ、俺らは特に変わってないやん。

センターが変わるだけで、グループの雰囲気まで変わるんやなぁって…」






ほんまに、そうなんやろな 。



小瀧「 しげはさ、そういう場所に立ってるんやな…」


流星の言葉の意味を自分の中に落とし込むように呟く望。

でも、 と、言葉を続ける。




小瀧「 … 俺は前のしげがすきやな 」


藤井「 今も今でかっこええし、あれが好きな人もおるやろ。

…でも俺らのファンの人が好きな俺らってさ、ああやないよな 。」



流星の言葉で我に返る感覚がした。



中間「 ちょっとしげと話してみるわ。
ありがとう、2人と話せてよかった。」






ガチャという重たい音の後に、楽屋のドアが開く。



藤井「 しげ。おはよう 」


重岡「 おはよー。」




なんとなく覚束無い足取りで、ソファに直行。

顔もなんか青白いな、と思って思わずじっと見つめる。



重岡「 何？淳太くん 」


にこって、なんでそないわざとらしく可愛く笑うん。




中間「 へ、淳太くん？」


重岡「 え、俺いまそう言うた？」


中間「 言うた 」


重岡「 うそ、きしょ。気にせんで(笑)」





ああ、わかった。この違和感は。









猫が、戻ってきたんや 。

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