生意気言いやがって ページ40
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「ん………寝ちまってたのか」
目を覚ました。眼鏡を取り出しながら落ちる寸前の記憶を辿る。
そう言えば経理の処理が途中だった筈だ。Aが起きないようにゆっくり起き上がってデスクに向かった。
シャットダウンされているパソコンを起動して昨日の処理しきれなかったファイルを開く。
「出来ているだと?……はぁ、そういう事か」
どうやらAに後処理をさせていたらしい。…と、なると誰が俺を運んだんだ?取り敢えずこいつを起こして聞くか。
軽くAの身体を揺すって起こす。
「おい。A起きろ。朝だ」
「んん…さきょう?」
「ああ。そうだ。…おはよう」
「おはよう…。ねむい…」
「そうだな。…ところで誰が俺を運んだ?」
「さきょうすき…。はこんだのばんり」
「ああ。……摂津だぁ?」
なんで摂津なんだ?
Aを抱き起こしながら考える。まあ、確かに遅い時間に起きているのはそいつらぐらいか…。茅ヶ崎だと非力だしな。
Aの手を握り談話室に向かう。
「あ、おはようございます」
「左京にぃとAねぇおはよう!」
「おはようございます」
「Aさんおはよう、クソ左京もはよ」
「あぁ。おはよう。兵頭、摂津は?」
「至さんの所です」
「…そうか」
「左京さん、今日はどうします?」
取り敢えず摂津が茅ヶ崎の所に居るのは分かった。
兵頭との会話に区切りがついた所でキッチンから伏見の声が聴こえてきた。その質問に飯と答えると運ばれてくる朝食達。
まだハッキリ意識がないAに起きろと言うと漸く目が覚めたのか仕切りに瞬きをしている。
…………。
眼鏡を軽く上げて気持ちを落ち着かせる。毎度毎度分かっていながら愛らしいと思ってしまう。わざとではないのは分かっているがそういう無意識の行動に胸が苦しくなる。
出そうなため息を押し殺して、代わりに食べ物を口に詰め込んだ。
食べ終わったものを片して、部屋に戻って部屋着から仕事着に着替える。
鏡の前でぐしゃぐしゃになった髪の毛を手ぐしで直し、ヘアワックスを軽く付けて整えた。
談話室に戻ってAの隣に座り新聞を広げる。
「うぃーす」
「万里おはよう。今日早い。講義?」
「まあな。すっかり忘れてたわ…。なんで昨日至さんとゲームしてたんだろ」
「ふ、でもそのおかげで助かったから」
「助かった。ありがとう」
俺も摂津の方を向いて礼を言うと、摂津は生意気な顔をくしゃくしゃにして笑った。
「俺秋組リーダーなんで」
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勘久朗 - 左京さんをパパにして至さんを弟にして真澄を彼氏にしたい。 (2019年11月15日 23時) (レス) id: 9175532e2c (このIDを非表示/違反報告)
勘久朗 - ヤバイ・・・好き・・・吐血する・・・真澄も左京もかっこよすぎ・・・真澄も左京も純愛・・・嫁にしたい・・・てか至さんの世話したい・・・(通常運転) (2019年11月15日 23時) (レス) id: 9175532e2c (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - 「解釈の一致」ってこういう事なんだなって思いました。尊いおぶ尊い。最高です。そして秋組もかわいい。読んでて心がきゅんきゅんしました。ありがとうございます。 (2019年3月19日 3時) (レス) id: ee1f3c5304 (このIDを非表示/違反報告)
しゆにだ(プロフ) - あぁ、左京さんとこんな恋したい。パパほしい。ほんとに夢のようだった ありがとうございました!!これからも頑張ってください! (2019年1月16日 21時) (レス) id: cc0fafd6d2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきゆき - 左京さんの優しさとかっこよさ、満開カンパニーのみんなの優しさが伝わってくる小説でした!更新頑張ってください!応援してます! (2018年11月28日 1時) (レス) id: 07636e0f96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:胡椒 | 作成日時:2018年4月22日 1時