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4話 side童磨 ページ4

そんな馬鹿げた提案をされてから、俺を単なる教祖だとしか認識していなかった彼女に全てを話した。

どうせ食事している所を見られてしまったのだから釈明の余地はなかったのだが、鬼であること、その中でも上位個体である上弦であること、そして鬼を滅する組織の鬼殺隊のことなど、ありとあらゆるリスクは説明したつもりだ。

それでも引くどころか、俄然やる気を出したような表情で「そうですか。では、これから宜しくお願いしますね!」なんて言うものだから、久方ぶりに大笑いしてしまった。

勿論、その笑いとて作られたものだけれども。


「ただ、1つルールを追加して頂きたいのですが」

「へぇ?言ってみてよ」

「ふふ、童磨様はお優しいですね。では…」


そう言って、離れて座っていた彼女は近付き、こちらの耳元に顔を寄せた。


「貴方が負けた時、私を鬼にして頂けませんか?」

「別に構わないけど何故?」

「愛を知った貴方と、永遠の時を生きたいんです」


顔を離した彼女はふわりと微笑んだ。


分からない。

俺が感情を持つことなんてこれまでも、これからも何百年生きようと有り得ないのに。

そもそも愛おしいと思ったかどうかを証明する方法がないのだから彼女にとって圧倒的に不利なゲームであるのに、何故この子は勝つ可能性を考えているのだろう。


「うん、分かった。その際は鬼にするために血を与えると誓うよ。まぁ君に適性がなければ仕舞いだけれども」

「ありがとうございます!は〜気が抜けたらお腹空いちゃったので何か食べてきますね!」

「あはは自由だねぇ。行っといで」


分からないものは、理解したい。

万が一にも、億が一にも、この奇妙な少女がずっと俺の知り得なかったことを教えてくれるのだとしたら。


長いこの生命のほんの一瞬、その可能性に賭けてみても良いのではないだろうか。


.

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ルイマ - コメントはしてなかったけど一応小説作成日から見てます! (2020年8月26日 0時) (レス) id: 6a1df0e410 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - ルイマさん» (本当ですね!お名前が似ている〜!)ありがとうございます!そう言って頂けて嬉しいです(*´ω`*)頑張ります〜! (2020年8月25日 23時) (レス) id: 94aec662ed (このIDを非表示/違反報告)
ルイマ - (私のネ一ム主さんの名前に一文字たした名前、_)めっちゃ好きです!更新がんばってください (2020年8月25日 23時) (レス) id: 6a1df0e410 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ルイ | 作成日時:2020年4月12日 14時

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