REAL ME

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なんだか藤ヶ谷と同じ空間にいるのが酷く疲れた
気分転換も兼ねて喫煙所へでも行こう
そう思ってドアノブにかけた手を制止される



「北山…ちょっと…」

「ん、何？」



藤ヶ谷に声を掛けられてしまった
なるべく関わらない様に避けていたのに
声を掛けられただけで身体が熱くなる

伏し目がちだけど真剣な雰囲気を纏った声
こういう時はメンバーやスタッフがいないところで話した方がいいのは分かってるけど
どうしても二人きりになるのは怖くて



「タバコ、吸いながらでもいいか？」

「うん…」



少し不服そうな藤ヶ谷と地下にある喫煙所へやって来た
いつもならスタッフの一人や二人居るはずなのにこんな時に限って誰もいなくて
避けたはずなのにこの狭い空間に二人っきりになってしまった



「……………」
「……………」



沈黙

堪らずにタバコに火をつけ口に咥えた
すぅーっと煙を吸い込んでふぅーと吐き出す
藤ヶ谷は少し煙たそうにして俯いたまま

タバコを吸っていると誰にもバレずに溜息が吐ける
今の俺には好都合だ
タバコを吸うフリをして思いっきり息を吐き出した



「なんで…避けるの…」



悲しそうに藤ヶ谷が言うから少し躊躇してしまう
でも自分の気持ちを隠す為にはこうするしかなかった
話したら
目を合わせたら
お前に触れたら溢れてしまう

蓋をして奥へ奥へと閉まったこの気持ちが…



「別に避けてなんかねぇよ」

「避けてるよ、仕事の事すら話さないし、目も合わせない…さっきだって俺には一言も話さなかったじゃん」

「いや…別に俺とお前はそーゆーんじゃねぇだろ、今の距離感がちょうどいいんだよ」


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