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えー、と言って一瞬だけ宙に視線をやった彼が、すぐ私の顔を見て楽しそうに口角を上げた。
なんて、言ってくれるんだろ。
速くなっていく鼓動が指先から伝わってしまわないように、ぎゅっと力を入れて彼からの言葉を待つ。
……だけどそう簡単にいかないのが誠也くんだ。
「どんぐらいって言ってほしいん？」
『へっ、？』
思いがけない返答に、わたわたと狼狽える私。
そんな私を、目を細めて悪戯に見つめる彼。
質問に質問で返してくるとは、意地が悪い。
「なぁー、はよ教えてや」
覗き込んでくる彼から逃げるように顔を背けるも、繋ぎ止められている手のせいで一向に遠ざかれない。
『……っ、かお、ちかい！』
「さっきまで自分からくっついとったくせに、なに今さら恥ずかしがってんの？」
『誠也くんからくるのはだめ！』
「そんなん不公平やん」
こつり。
少し顔を傾けたら唇がくっつきそうな距離に、背筋がぞくりと粟立つ。
身動きしなくなった私を見て息を吐くように笑った彼。
その雰囲気がこれまでにない甘さで、どうしようもないぐらい意識してしまって。
もう頭も心臓も完全に容量オーバーだった。
「目うるうるやなぁ」
『せーやくんの、せいだもん……』
「はいはい。俺があかんかったって」
ちゅう、と頬に吸い付かれる感触。
何をされたのかわからずぽかんとしていると、今度は反対側からもリップ音が響いた。
「Aが嫌って言っても、ずっと離さへんよ」
そう言って何事もなかったように離れる彼。
遅れて私の身体はじんわりと体温を上昇させていく。
「わかった？」
『う、ん……』
「色々したくなんのもAだけやねんけど」
口付けられたところを親指でなぞられ、小さく肩を揺らしてしまう。
「覚悟できたら、おいで」
『……覚悟って？』
「俺に何されてもええ覚悟」
意地悪に笑って遠ざかっていく彼を、じっと立ち尽くして見送る。
鼓動はいつまで経っても速いまま。
気付いてしまったら、もう誠也くんを好きで好きでたまらない。
『誠也くんの……あほ』
何されてもいい覚悟は、まだちょっぴり勇気が出ないけど
「好き」って伝える覚悟をもって、彼の背中に抱きつくことにしよう。
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ゆの(プロフ) - ゆきまろさん» こちらの方までありがとうございます！ 佐野担さんに喜んでもらえたなら大満足です！！ (2022年10月26日 10時) (
レス) id: a2597d3538 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきまろ(プロフ) - 佐野担の私は無事に死亡しました、、、これ何回も読みます、、！ (2022年10月25日 23時) (レス) id: fd73da006f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆの | 作成日時：2022年10月25日 4時
