「あほ」(S.S) ページ4
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ふと、気付く。
「A、差し入れどれがオススメなん？」
『えっとねぇ……』
お菓子の詰め合わせが入った箱を物色しながら問いかけてくる彼に近付き、いちご味のフィナンシェを手に取る。
『これかなぁ』
「せやったらこれにしよ」
ありがと、と告げてその場で包みを開けて食べ始める。
そんな彼を私はそのまま見守っていた。
「ん、うまっ！」
『誠也くん絶対好きだと思った』
「さすがわかってんなぁ」
嬉しそうに目をキラキラと輝かせる彼にもたれかかるように、二の腕に頬をぴったりと張り付ける。
けど何も言われない。
誠也くんは、案外パーソナルスペースが狭いらしい。
『誠也くん』
「なに？」
『あー、』
「新しいの開けろや」
そう言いながらも最後の一口を私に譲ってくれるあたり、なんだかんだ甘やかされてる自覚はある。
「おいしい？」と聞いてきた彼に頷くと、柔らかく微笑まれてきゅんとした。
なんだか今日は凄く誠也くんに甘えたい気分。
無言で彼の手をとり、手のひらを合わせて大きさ比べ。
もちろん私の方が小さい。
「何したいん？」
『もうちょい』
はいはい、って呆れたような優しい声が胸に滲む。
指を絡ませて恋人繋ぎをすると、誠也くんもぎゅっとしてくれた。
『誠也くんいい匂いする』
「あとで香水貸したるわ」
綿菓子みたいな甘くてふんわりとした香り。
特別大好きな、彼の香り。
『誠也くんって割とくっつかれるの嫌がんないよね』
頬を擦り寄せて彼を堪能する。
だけどそれは彼の手によって止められてしまった。
『ひどい』
「あほ。こんなくっつくん許してんのAだけやわ」
『……え、でも他の人も、』
また「あほ」と罵ってきた彼が私のおでこにびしっとでこぴんをしてくる。
音の割に、痛くないやつ。
反射的に一歩下がろうとして、繋いだままの手に引き寄せられた。
「それステージの上とかやろ？」
『……こないだ、撮影待ちの間に斗亜と手繋いでたって聞いたもん』
「ちゃうやんそれは。ゆーて10分くらいやし」
『じゃあ私とだったら何分手繋いでくれるの』
唇を尖らせて拗ねていることを隠さず、答えを求めて彼のことをじっと見上げた。
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ゆの(プロフ) - ゆきまろさん» こちらの方までありがとうございます！ 佐野担さんに喜んでもらえたなら大満足です！！ (2022年10月26日 10時) (
レス) id: a2597d3538 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきまろ(プロフ) - 佐野担の私は無事に死亡しました、、、これ何回も読みます、、！ (2022年10月25日 23時) (レス) id: fd73da006f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆの | 作成日時：2022年10月25日 4時
