やっぱり手強い彼 (ページ12)

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62話ページ12

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末「結構女の子らしい部屋なんやな」

『えと、あの……そうです……』

末「大阪の方はあんま来おへんやろ？」

『レギュラーある、から……』

ふーん、なんて言いながら私の部屋を珍しそうに眺める彼はどこか楽しそう。

彼と想いが通じ合った後、みんなに報告をしてたくさんお祝いしてもらって。
……誠也くんはちょっぴり怒られたり野次を入れられたりしてたけど。笑

それで今日はなんとなくそのままばいばいするのが寂しくなっちゃって、お家に誘っちゃった。

お互い明日はオフだったし。東京帰らずに大阪の家で泊まっていこうと思ってたし。

末「緊張してるやろ？」

『しっ、してない！』

末「顔強張ってんのによぉ言うわ」

むにっ、と私の頬を摘んだ彼はいつもみたいに優しく笑った。
なんとも余裕そうな彼と違って私はずっと心臓がうるさいというのに。

『べ、ベッド座ってていいから！』

末「はぁーい。ゆっくり着替えてき」

洗面所の扉を閉めて、ようやく一息つける。

大阪の家はどちらかと言うと帰ってくる頻度も過ごす時間も短い。
だから家具も最小限だし、大学生の一人暮らし程度の広さしかないから何をするにしても彼が近くて、いちいちドキドキしてしまう。

『……いきなり家とか、引かれてないかな』

夜ご飯は望や大吾も入れて集まったメンツで食べちゃったし、そっから2人で飲みに行くのも違う感じがしたし……
行けるの、家ぐらいしかなかったんだもん。

だけど冷静に考えると、付き合った男女がお泊まりって、それはなかなか過程をすっ飛ばしてるような気もする。

『……誠也くん、お風呂準備したから先どーぞ』

末「え、俺あとでええよ？」

『や、お客さん、だし』

末「……一緒に入る？」

『〜っ、！？』

沸騰したみたいに一気に茹で上がった私を見てけらけらと笑った彼は「冗談やって」と言い残してお風呂場へ消えていく。

私のライフは、既に0。