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特殊部隊は拡声器を使って、私達に抵抗するなという言葉を伝えてくる
「フジ、ありがとう」
私はもう会えないかもしれないフジの綺麗な黒髪を触れながら言った
フジ「Aちゃんは優しいね。あんな酷いことしたのに」
フジは優しく笑った
もう狂ったあの笑みはどこにもない
キヨ「さぁ、時間だぞ」
キヨの少し不機嫌な声でフジとの会話は途切れた
ヒラ「フジ、無事でいろよ」
私達は別々の場所で合図を待っている
フジ「ヒラもしっかり逃げろよ」
フジはくしゃっと笑った
初めてみたその顔に少し胸が暖かく感じた
キヨ「フジ、絶対に生きろ」
キヨの力強い言葉にフジは少し涙を浮かべ幸せそうに笑い
フジ「お前こそAちゃんのために生きろ」
私はずっと気づけなかった
彼らの間にある強い絆
互いの利益のためにいると思っていた
しかし、本当の彼らはずっと前から一緒にいる親友であり仲間なんだ
こんなに一緒に居たのに気づけない私はやはり、“闇の蝶”ではないのかもしれない
それとも彼らが私より本当は
キヨ「3、2、1。GO!」
キヨのその合図でそれぞれ動き出す
フジは目立つ場所、私達は脇を通ってゆく
そしてまた銃声がこの場に響く
_____フジはきっと私にしたことの罪滅ぼしのためおとりになったのだと今になって思う
フジは本当は優しいから、このこと言えば私が否定すると思ったのかもしれない
私達は必死に逃げ、ひらけた場所に出た
「これで少しは安全ね」
私達は大きく息を吐き出した
キヨ「A、いつもこんなことしてたのか?」
キヨは少し疲れた表情をしている
「こんな派手にはやらないわよ」
私は手元のナイフをくるっと回した
ヒラ「確かに、こんな大変な事してたら命いくつあっても足りない」
ヒラはふわっと笑っていた
私達は何気ない会話をしていたその時だった
こーすけ「よぉ!」
私達の向かい側にこーすけを先頭にし、警官がたくさんいた
キヨ「こーすけ…」
こーすけ「キヨ、よくも俺に手錠かけたな。ここに来るのに時間かかったじゃねぇか」
こーすけは狂気じみた笑顔を見せた
「あなたがこーすけさんなのね」
私は冷静にこの場をやり過ごして隙をつこう、そんな甘い考えを持っていたのがダメだった
キヨ「てめぇ!離せ!」
ヒラ「刺すぞ!」
振り向くと後ろにいたキヨとヒラは警官に羽交い締めにされていた
こーすけ「さっきまでの勢いはどうした?背後を取られるとは情けないな」
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ゆゆ - これは1つの私の答えです。彼女の最期など皆様の答えは違うと思います。是非お聞かせ下さい (2020年4月30日 16時) (レス) id: 4afcd35675 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - サム達を残して逝ってしまう悲しさ不安さがどこかにあり、満月は彼女の気持ちと同じく暗闇に隠れてしまいます。彼女の壮絶な人生と狂った恋愛を許してしまうそんな世界を現しているのが月の光。 (2020年4月30日 16時) (レス) id: 4afcd35675 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - 解説です。月の光は楽しくもあり悲しくもあるどちらともいえない曖昧な世界を表現した曲と言われています。サムと過した日々は楽しいですがキヨの想いが彼女を苦しめたためにどちらともいえないと発言しています。 (2020年4月30日 16時) (レス) id: 4afcd35675 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - 孤黒さん» ありがとうございます!その言葉全てが嬉しいです!マイペースすぎて進まないですが最後まで最善を尽くしてこだわらせてもらいますのでよろしくお願い致します! (2020年4月23日 15時) (レス) id: f9b5f66733 (このIDを非表示/違反報告)
孤黒 - 完結おめでとうございます!こんな感じのお話を読んだのは初めてでした。とっても面白かったです!最後まで雰囲気を崩さない所とか、素晴らしいなぁと感心しております。「唐紅」の方も楽しみにさせて頂きます!最後まで応援しております! (2020年4月19日 23時) (レス) id: 785222cc26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆゆ | 作成日時:2019年8月30日 1時