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#99 ページ5

耕作が藤川先生のところへ行って、
私たちの間を妙な静けさが包んだ。



相変わらず、背中は痛いままだ。

実を言えば喋るだけで痛いから、
なるべく喋りたくはない。






沈黙を破ったのは、雪村さんだった。



雪「… いつもそうですね」


『… え?』



雪「A先生は自分が危ない状況の時でも
自分は放ったらかしで患者一番」




雪村さんはやや呆れ気味に言った。




『それは当然でしょう?
患者が死んだら元も子もないのよ』



雪「それでも先生は無理をしすぎです」



『その言葉、聞き飽きた』




私が軽く笑うと、彼女も笑った。






『雪村さんは… 変わったわね』


雪「え?」



『最初に比べて笑顔も増えた。
それに、雰囲気も柔らかくなった』


雪「それ、白石先生と緋山先生にも言われました」



『あちゃ、先越されたか』





私たちは、お互いに微笑を浮かべていた。













雪「… 先生、無理して笑わないでください」




『… さっき耕作にも言われたっての』


雪「見てるこっちが辛いです」




すると雪村さんは、

私の方に手を伸ばして来た。





そして、









『… ぃっ!った… ちょっと、何するの、!?』



あろうことか背中の傷口付近を押した。





雪「きっと私が押さなくとも痛いはずです。
本当は喋るだけで辛いんでしょう?

少しは周りに頼ってください」









… まさか、



フェローに言われる時が来るなんてね。






『… 本当に、成長したね』



雪「ありがとうございます」






その優しさに甘えて、



私は目を閉じた。







そして、まるで走馬灯のように、


今までの出来事を思い返した。






耕作がどういう答えを出すであれ、



私は決めた。





もう一度、トロントへ行くと。










みんなに会えなくなる前に、



思い出に浸っても、




いいでしょう?

















重たくなった瞼に逆らえず、



私はそのまま目を開けなかった。







私の名前を呼ぶ雪村さんの声は、


微かにしか聞こえない。





ごめんね?






少しだけ、



少しだけ、休ませて__________














私が目を覚ます頃には、



きっと全てが終わってるから。

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重岡ゆう毅(プロフ) - EYさん» すみません、この作品に続編はないんです(>_<)楽しみにして下さっていたのにすみません( ; ; ) (2018年2月25日 17時) (レス) id: 2da3aeedd9 (このIDを非表示/違反報告)
EY - 続編楽しみにしています!頑張ってください!!! (2018年2月25日 11時) (レス) id: c47a548f03 (このIDを非表示/違反報告)
重岡ゆう毅(プロフ) - yasupi88さん» ありがとうございます!頑張ります(^ ^) (2017年9月30日 20時) (レス) id: 2da3aeedd9 (このIDを非表示/違反報告)
yasupi88(プロフ) - 大変だとは思いますが、無理せず頑張ってください!楽しみにしてます (2017年9月30日 18時) (レス) id: 618b23053f (このIDを非表示/違反報告)
重岡ゆう毅(プロフ) - yasupi88さん» “凄く”とまで言ってくださって嬉しいです!とても心強いです(^^) (2017年9月28日 21時) (レス) id: 2da3aeedd9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:重岡ゆう毅 | 作成日時:2017年9月20日 1時

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