俺、ベビーシッター始めます。2【YG】

【.】 ページ35

Noside









『…パパ、ママ？』








自分の部屋で遊んでいたニナ。


玄関から物音がして一階へ降りると
靴を履いている父と、全身鏡で身だしなみをチェックする母がいた。









『…これから外国？』



MM「えぇそうよ。

飛行機に乗る時間に、間に合うようにしなきゃいけないから。」



『そっかぁ…』







前髪を整えている母の顔をぼーっと見つめながら答えるニナ。


いつもより、綺麗な服とメイクをしていた母のことを初めて見たからだ。









PP「…ニナも一緒に連れていきたいけど、ママもパパもお仕事だから連れていけないんだ。



ごめんな、ニナ。」








すると突然、ふわりと頭を撫でられる感覚。



視点を上にあげれば、困り顔をした父が名残惜しそうにニナの頭を撫でていた。









『…、』







今まで明るく笑ったお父さんの顔しか見なかったからだろうか

それともまだニナが小さいからなのか


急に目の奥が熱くなり、なんだか思いっきり泣きたくなってくる。







パパと一緒に遊びたい。


ママの作ったお菓子が食べたい。


一緒に家にいたいよ。





今まで我慢してきた言葉の数々が、喉のすぐそこまできている。



















MM「…ニナ？」



PP「どうした？大丈夫か？」









きゅっとうつ向くニナを心配した2人が、膝をついてニナの顔を覗き混む。















ニナは、まだまだ子供で4歳。


甘えても、少し悪いこともしても許される歳。


わぁわぁ大きな声で泣いたって、2人が優しく慰めてくれる。





だから今ここで、止める事も出来るかもしれないのだ。



泣いて言えば、しょうがないと言って、ニナと遊んでくれる時間が増えるかもしれない。









でも、







































『…ニナ、へいきだよ。』








それでもやっぱり、そんな事は出来ないのがニナだ。








心配はかけたくないから。



溢れそうになる甘えたい気持ちは我慢して。



零れそうになる涙は堪えて。





























MM「…じゃあ、行ってくるわね。」



PP「お土産買って、すぐ帰ってくるからな。」



『うん！いってらっしゃい！』



「「行ってきます、ニナ。」」









下手くそな笑顔を浮かべて、見送ることしか出来ない。

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