【完結】宮野さん（女）はえいとです。 (ページ8)

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⑥青春の捨て先【緑】ページ8

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緑Side

俺は凄く機嫌がいい。

すこぶるいい。

最高にいい。

村上君の番組を見た友達から、半笑いのメールがきて「事の次第」を知った。

収録なんてそこそこ前に済んでるやろうに、二人ともわざわざ黙っていたことが可笑しくて仕方ない。

一人は、娘同然の青春の一片を知ってしまって複雑なんやろし、もう一人は恥ずかしくて、しれっとしてるんやろし。

…ネットニュースになっていた。

『関ジャニ宮野、初キスはメンバー』

ありがとう世界。

その、メンバーってのは、俺です。
久々にその記念すべき映画を見返そうか。

いや、まずご本人にお声がけせなあかんな。

「Aちゃん、聞いたで」

笑いを抑えつつ(抑えられてはない)楽屋で話しかけるとその「ご本人」は地獄見るみたいに俺を見た。

「夜ふかし…やんな？」

「せやで」

「………」

「仰山ネットにも出とったで」

「…………なんで言うたんかな私…」

他のメンバーが、話の流れを見守っているのが背中越しにも分かる。

「ホンマなん？な、ホンマなん？」

「嘘ついたりせえんわ。
夜ふかし出してもろうて、ついつい喋ってもうたの」

俺がにやにやを止めずにいると、すばる君に「調子乗んなよ」と、どつかれた。

痛かったけど、そんなん平気。

男は何でも最初なんが嬉しいんと違う？

俺はそう。

少し思い出した。

あの撮影をしてる頃は、Aちゃんがまだ本物の高校生やったから、夏休みに被せてスケジュールが組まれてた。

それでも前半は学校にも行きながら撮影してて「本物の学校と学校のセットの往復してるなんて」ってよく笑ってたんを覚えてる。

時間がないからってそのまま来るから、普段なかなか見せたがらないホントの制服を見れて、その時期は楽しかった。

作品の制服はセーラーやったけど、Aちゃんの学校はブレザーやってんな。

俺は何か変わってしまったか分からんけど、Aちゃんだけはいつまでも変わらん。

それが嬉しい。

真剣に仕事をやるために、全部捨ててきたのは知ってる。

俺らが捨てられんかったもんまで全部、Aちゃんはさよならしてきとるはず

それの一つの捨てる先が俺で良かった。

ただそう思った。

それで俺は今日は機嫌がいいんや。

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