【完結】宮野さん（女）はえいとです。 (ページ11)

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⑧女装、褒めて。【黄】ページ11

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黄Side

な、見て。と差し出された一枚のチラシ。

俺は受け取ると光より速く、かわええなと返した。

みやが、舞台を丸ちゃんとやることになった。

ポスター撮りが終わったらしく、関係者用の見本をわざわざ楽屋まで持ってきたらしかった。

「ありがとう。
私絶対、どっくんに褒めてもらおって思うててん」

いつもAは俺に「褒めてほしい」と言う。
しかも女装の時に限って。

前聞いてみたら
「シュッとしてる人に判別してほしいねん」
とだけドヤ顔で返してきた。

……謎理論。よう分からん。

判別て、元々そっちが正解やろうから見分けは付くというか、なんというか。

そもそも、駄目やなとかいけてへんなとか、俺が言うなんてAやって思うてもないやろし、ほんまにただ褒めてほしいだけらしい。

　
なんでやろ、A。
不思議や、A。

やっぱり面倒見てきたからか知らんけど、素直に甘えられるのは嫌じゃない、全然。

観に行くのが楽しみや、随分先やけど。

格好つけてる男前なAもなかなかええけど、こっちの女装もええやんな。

ほんまは女装、とちゃうねんな。

………まあ、ほぼ女装やろ、ええやん、かわええんやし。

毎度お馴染みの「かわええな」を受け取ったAは

「せやろ〜、カメラマンさん優秀やね〜ん
最高やろ？？あ、観に来てな〜」

と菩薩のような穏やかな表情をたたえて、観劇を促し、チラシをひらひらをさせながら去っていった。

これからも要観察。

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