有給前夜 (ページ4)

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第三話(独歩目線前半) ページ4

液晶画面には「寂雷先生」の文字が映っていた。
独歩(先生だ……えっと、なになに…？)
…瞬間、気分が舞い上がる。
メールの内容はこの様なものだった。
「こんばんは、夜分遅くにすみません。
一二三君から、明日は独歩君が休みだと聞きまして…私も明日は休みなので、良ければ三人で釣りに行きませんか？
帰ったら一二三君にも伝えて貰えると幸いです。」
独歩「…っしゃオラァァ！！！！」
…あ、ヤバい。
乗客「…ッ！？」
周りに居る数人の乗客の視線が俺に集まった。
独歩(…あぁぁ……俺は徹夜明けハイテンションプラス明日有給という嬉しさ故に頭が超絶浮かれポンチハッピーセットと化していたせいで車内に人が居るってのに叫んでしまった…！あぁぁ………俺は……俺は俺は俺は……)※彼は徹夜明けテンションなので発言もややおかしくなっております。大目に見てください。

独歩(って…！と、兎に角謝らなくては…！！)
独歩「……す、…しゅ、しゅみません……！！！」
独歩(……クソォッ！！！何でだよ！何噛んでんだよ！！！)
一気に羞恥心パラメーターが限界まで飛び跳ねそうになる。
いやもうなっている気がする……あぁ…どうして俺はこんなにも……いや、これは徹夜明け確定させる原因になった、ハゲ課長が悪いのでは……？
あの野郎俺が口答えしないからって毎日毎日毎日俺に仕事を押し付けて……いや、そこで言い返さない俺が悪い様に思えてきた……そうだ、それに俺は仕事もろくに出来ないゴミクズだからってハゲ課長が見兼ねて、雑用みたいな仕事くらいならこのクソ部下にでも出来るだろうと……仕事を分け与えてくれてるのか……だから今日も同じように…仕事を……はは、全部俺が悪いんだ……きっとそうだ……俺が俺が俺が俺が……。

…ふと、我に返る。落ち着け……落ち着かなきゃ駄目だろ…俺…。
独歩(……そうだ…先生に返信しなきゃ。)
指でスマホ画面に触れ、文章を打っていく。
…よし、こんな感じで…
「送信」ボタンをゆっくりと押した。
独歩(……さっきはとんでもない失態を犯してしまったが…何はともあれ、先生に誘って頂けたのはすごく嬉しいな……。)

…電車のアナウンスが聞こえてきた。
独歩(よ、良かった……降りれる…。)
俺は逃げるかのように、素早く電車から降りた。

(続く…)