放課後、二人で、恋を話した 03 ページ36
「うん、嘘。……ごめん、ちょっと意地悪言った。Aちゃんがそんな事しないって知ってる。だから余計心配で。Aちゃんの方こそなんもなくてよかった」
なんて優しく笑うから、長時間冷房の効いた部屋にいて冷えていた私の身体の温度が僅かに上がった。
「……とりあえず、田中君も座る？」
言いながら隣の椅子を引く。
「あー、でも俺汗臭いかも」
「気にしないよ。急がせちゃったの私だし」
「……じゃあ」
なんてやり取りの末に田中君が隣に座った。
「……明日から夏休みだね」
「そうだね」
こんな取り留めのない話をするつもりで田中君を呼んだ訳じゃなかった。なのに中々本題が喉を通らない。
「……Aちゃん、話って？」
そんな私を見兼ねたのか田中君の方から核心に触れてきて、未だに心の準備が出来ていなかった私は分かり易く慌てた。
「あ、えっと」
『私また何か田中君にしちゃったかな？』
『田中君、最近私のこと避けてない？』
『どうして最近あんな話してくれないのかなって』
どういう言い方をすれば一番気不味くならないのかを考える。でも正解が解らなくってなくってとっさに言葉が出てこない。
そうこうしている内に田中君の口から飛び出したのは私が予想だにしなかった言葉だった。
「慎太郎と、付き合いだしたの？」
「え……？」
思わず顔を上げて田中君の方を見る。冗談で言っているようには見えなかった。思考が停止する。
「最近二人の様子が前と違うから。そうなのかなって。ちょっと前にAちゃんが休んだ日に慎太郎ぼそっと言ってたし『俺の所為かも』って」
私の無言を肯定と捉えたのか、田中君が心無しか寂しそうに続けた。
「田中君」
でも違う。それを伝えてたくて名前を呼ぶ。
「私、慎太郎とはそういうんじゃないよ？」
確かに前までと今は少し違うけど、慎太郎の名前を聞くと痛む部分が心にあるけど、そういうんじゃ、ない。
放課後、二人で、恋を話した 04→←放課後、二人で、恋を話した 02
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1401人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夕色(プロフ) - つばささん» つばささん！ありがとうございますっ。なんとか完結出来ました。でも今だいぶ空気が抜けた風船みたいな状態なので、すぐに次の話を書ける方すごいなーという気持ちでいっぱいです(^_^;)。 (2022年1月24日 19時) (
レス) id: 109b0e65b2 (このIDを非表示/違反報告)
つばさ - ID違うけどつばさです！完結おめでとうございます！キュンとしたり切なかったり…本当に素敵なお話でした(^^)終わりは寂しいですがお疲れ様でした✨ (2022年1月24日 16時) (レス) id: d22c4c2f70 (このIDを非表示/違反報告)
夕色(プロフ) - ★mmiioo★さん» コメントありがとうございます！月曜固定更新にしたのは、自分的に楽だったからですが読んでくれてる方にも楽しみにして頂いたみたいで嬉しいです。二人とも良い子なのできっと良い人に巡り会えるはず！自己満足な裏設定もお読み頂きありがとうございました😊。 (2022年1月24日 14時) (レス) id: 109b0e65b2 (このIDを非表示/違反報告)
★mmiioo★(プロフ) - はじめてコメントします。このお話を見つけてから、毎週月曜日が楽しみでした。ようやく二人が結ばれてほっとしましたか、失恋した2人も近い未来、大切な誰かと出会えますように。皆優しくて、読んでいて心地いいお話でした。裏設定、面白かったです(*´∀`)♪ (2022年1月24日 10時) (レス) id: 9bdd0af86e (このIDを非表示/違反報告)
夕色(プロフ) - ubisiさん» コメありがとうございます！なんとか無事に走り切ることが出来ました。青春ど真ん中の話が書きたかったのでそれを感じて貰えたみたいで良かったです。 (2022年1月24日 10時) (レス) id: 109b0e65b2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夕色 | 作成日時：2021年11月22日 8時
