29.いとをかし ページ29
沈黙が気まずい。
本来の私なら、メンバーに気を遣わせないよう細心の注意を払うことができた。
例えば、ユンギさんなら居眠りするのを妨げないように途中からあえて黙ったり、テヒョン君ならその時彼らのハマっている事や好きな事を話題に話しかけたりするわけだが……
今日に限ってユンギさんは眠くなる様子もないし、スマホのメモ欄に歌詞を打ち込む事もない。
じーっと鏡を見たり、爪の先を見ていたり、たまに私に目線をくれる。
( 何か話さなければ…… )
そう思った瞬間。
YG「そういやー、ジョングギとは付き合う事にしたんですか？」
ハッ！とした。
そうか、保留にしてしまっている事を知っててジョングク君を心配しているんだ。
『あー……あはは、まだ、お返事してなくて、ダメですよね。』
私がジョングク君を傷付けないか、心配しているような、そんな顔で……
YG「どうするつもりなんですか？」
そんな風に聞かれたら、一瞬でも私を好きなタイプだと言ってからかった事を含めて、やはり冗談だったと言われたみたいで……
『とてもありがたいし浮かれてしまったのは事実なんですが、現実問題お付き合いはできないと思っています。私もこのような立場でありますし、お断りするつもりです。』
YG「そうですか。」
( 振り回されただけだったんだ…… )
私の顔が赤らむのを見て、面白がっていただけだったんだ。
それを悲しいと思ってしまった事が、私がユンギさんを好きだと意識した瞬間だった。
会社や立場を理由にあのジョングク君を断ろうとする人が、ユンギさんにこの想いを告げる事は許されない。
そんな事、あってはならない。
_____________________________
30.匕首が良い JK side→←28.峰打ちじゃイヤ YG side
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1412人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：kee x他1人 | 作成日時：2018年9月16日 23時
