目を逸らしていたこと ページ40
「メリオダス、様……?」
突然抱きしめられ、反射的に体を強張らせる私の背をそっと撫でるメリオダス様
「…ごめん。本当に…ごめんな。オレのせいだろ?オレのせいで、本当の気持ちを吐き出せなくなったんだろ?」
「……」
違う。あなたのせいじゃない。そう思っているのに言葉を返せなかった
ずっと見ないフリ、知らないフリをしていた。自分が抱く、
どうして、私を選んでくれなかったの?どうして、私じゃなくて
狂ってしまうほど誰かを想うのが"恋"だと言うのなら、私は要らないと思っていた。けれど、メリオダスに出逢ってそんな決意はどこかに吹っ飛んだ。自分が持ち得る全てを投げ捨ててでも、彼と共に在りたいと思った。彼の隣で、未来を見たいと願った。でも、彼が望んだのは私ではなかった。だから、彼が魔界を出るつもりだと知った時、彼が出やすいように細工をした。告げもせずに淡く散った初恋。"婚約者だから大丈夫,,と驕っていた私の目を覚ましてくれた、メリオダスの裏切り。最後の別れの時も何も知らないふりをして彼を送り出した。それがメリオダスにとっての最善だと信じて
けれど、ずっと心の底ではエリザベスの手を取ったメリオダスを恨んでいた。何度も何度も裏切られて"私,,のことなんて眼中にもない癖に優しくしてくれる彼が恨めしくて、腹立たしくて、哀しくて、辛くて、苦しくて_____でも、どうしたって嫌いにはなれなかった。メリオダスという人が大切で愛おしくて…ただひたすらに彼を求めている。それに気が付いた時、浅ましく愚かしい己に吐き気すら催した。何もかもを奪ってほしかった。私という存在を、世界のどこからも、消してほしかった
「……っ」
ずっと意識して整えていた呼吸が乱れる。手足が痺れてズキズキと左胸の辺りが痛む
「ユーリ……?」
異変に気付いたメリオダス様が顔を上げて私を見つめる。翠の瞳に宿るのは、心配と不安
「っ……」
ふっ、と目の前が暗くなり、意識がどこかへ遠のく感覚と共に膝から崩れ落ちる
「ユーリ!?/エルティアナ様!?」
意識が途切れる寸前に見えたのは、珍しく焦ったような
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pomme(りんご)(プロフ) - 瑠李さん» 返信ありがとうございます。また何かありましたらお教え頂けますと幸いです (2021年7月4日 20時) (レス) id: cf9e4ba859 (このIDを非表示/違反報告)
瑠李(プロフ) - ありがとうございます!今読みました。これからも面白い小説頑張ってください!応援してます! (2021年7月4日 19時) (レス) id: 88c711d3e6 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(りんご)(プロフ) - 瑠李さん» コメントありがとうございます。今、消しましたのでご覧頂けると幸いです (2021年7月4日 19時) (レス) id: cf9e4ba859 (このIDを非表示/違反報告)
瑠李(プロフ) - 国王陛下の帰還が同じセリフがあります (2021年7月4日 19時) (レス) id: 88c711d3e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アストライアー | 作成日時:2021年7月3日 22時