Tu aimeras les gens et tu vivras fierement〈第七章〉

女神の着替え ページ14

「ふむふむ…確かに動きやすそうだわ」

　化粧室(ドレッシングルーム)のクローゼットを開けた私は、中に収納されている服を見て感嘆の声を上げる

　公爵令嬢なら露出度高めの服とか好まないイメージなんだけど…って、そういえば…エリザベス王女もメリオダス様好み丸出しの〈豚の帽子(お店)〉亭の制服を恥じらいながらも受け入れていたわね。この国の王侯貴族はあまり露出を気にしないのかしら？それとも、エリザベス王女とマリーさんが寛容なだけ？

「うん、サイズもぴったり……？」

　鮮やかな赤のオフショルダーブラウスに黒のショートパンツ、黒の10cmヒールのパンプスを身につけた私は地味に違和感を感じる

　この服…魔法で作られてる？そういえば、マリーさんは〈アレグレア商会〉で買ったって言っていたわね。王国筆頭公爵家ともなれば、会頭さんと直接話をしてもおかしくはないからアレンに製作を依頼したのかしら？

　色々考えを巡らせながら髪を赤のリボンで高く束ねた私は、少し体を動かして着心地を確認する

「…うん。動きやすい」

　高めのヒールだけど、私はヒールでも普通に戦えるように教育されたからあまり問題にはならないわね

　化粧室(ドレッシング・ルーム)から出た私は、ニコニコと笑いながらみんなに新衣装(コスチューム)をお披露目する

「見て見て、みん…な……」

　しかし、その言葉を最後まで紡ぐことなく、視界に映る光景に思わず目を見開く

「マリー、さん……？」

　私の視界に映っていたのは、涙目で怯えるマリーさんと彼女の首に短剣を当てたアルテミスの姿だった

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