Tu aimeras les gens et tu vivras fierement〈第七章〉

女神の遺恨と患っている病気 ページ12

「魔神族と女神族がいない今、精霊国(イデアール)滅亡時を知る奴はお前しかいねえ。今生きてる奴は、まだ誰も生まれてなかったからな」

"お前が我が手を取ったその選択の先にある未来を、その目に焼き付けるが良い,,

"ダメ…やめて……っ！！,,

　今でも夢に見る、イデアール滅亡の瞬間。魔神王の手を取る、というその選択によって私が愛した国や民、家族を全て失ってしまった地獄のような瞬間を

「…ずっと憎んでる。魔神族も、女神族も、巨人族も妖精族も、人間も…イデアールに攻め込んだ五種族全てを」

　国(イデアール)が滅びたのは、女王たる私の選択が間違っていたから。国(イデアール)を滅ぼしたのは女王(わたし)だ。そう言われるのは至極当然のことで弁解の余地はない。けれど、少しだけ思う。魔神族と〈光の聖痕(スティグマ)〉の戦士たちがイデアールに攻め込まなければイデアールが滅ぶこともなかった…と

「でも、その割には五種族に友好的だよね？」

「"今,,を生きる者たちに憎しみを向けるのはお門違いだわ。精霊国(イデアール)滅亡時に生きていた者は、封印されているか精神体になっているかの二つ。精霊はもちろん、女神族や魔神族でさえ御伽噺の中の存在になっている現代を生きる者たちからすれば、私の憎しみは"御伽噺を読み、変な妄想をして勝手に敵対心を抱く気が狂った者,,にしか見えないと思うわ」

　偏見や差別に晒される精神疾患を患っている私は今でも精神安定剤は欠かさず飲んでいるし、通信用魔水晶越しだが精霊の侍医で精霊女王(ルナーリア)の世話役であるセシリアの診察は受けている。本当は、自然豊かな『精霊の森』で静養した方が良いのだが諸事情でそうもいかず…うつ病を患って早数千年。薬の量も増えたり減ったりが反復している状況だ

「癒やしの魔力で体を回復させねえと、大切な奴らを護ることはできねぇだろ」

　レオンハルトの意見は紛うことなき正論であり、ぐうの音も出ない

「"健やかなれ,,」

　額に手を当てて女神族の癒やしの魔力を使うと、ふっと体が軽くなった

「傷を癒したい時は精霊魔法でもいいけど、体調不良とかは女神族の癒やしの魔力を使わないと良くならないよ？まぁ、一番は休息を取ることなんだけど」

「…ん、分かった」

　俯いて頷くと私たちがうるさかったのか、眠っていたマリーさんが目を覚ましてしまった

愛し子の目覚めと女神の違和感→←女神族の癒やしの力を使わない理由

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