検索窓
今日:1 hit、昨日:139 hit、合計:70,032 hit

現実 ページ2

A「三ツ谷君、行ってくるね」

三ツ谷「あぁ...」

浮かない表情でバイクに寄りかかる三ツ谷を残し
Aは花束を手に目の前ね建物に入っていく

三ツ谷君には反対されたけど
どうしても自分の目で
見ておかなければならないと思った

それに自分の想いを叶えるなら
私はしっかり現実を見つめて
覚悟を決めなくちゃならない

それが告白の返事を保留してくれている
三ツ谷君の優しさに応える方法だと思うから

最後には三ツ谷君も渋々納得してくれて
バイクでここまで送ってくれた

建物の3階でエレベーターを降り
少し歩いた廊下の先
廊下に面した壁が透明なガラスになり
部屋の中を覗きみることが出来る

中には酸素マスクを付け
顔を腫らして眠る女性がいた

事前に聞いた話では
頭7針、歯は折られ、左目網膜剥離
全身打撲に肋骨骨折、意識不明...

一般の女性相手に正気の沙汰じゃない
どんな殴り方をすれば
ここまでの大怪我をさせられるのか

暴行を加えている間
そいつらは何を考えていたのか

暴行されている時
この人はどれだけの恐怖と痛みを感じていたのか

どれも想像を絶するものだったに違いない

現実を目にしても
恐怖より怒りや嫌悪感が先に立つ

ガラス越しに
眠る女性を見つめていたAの
背後から中年の女性が
疲れたような優しい表情で声を掛けてきた

女性「あの子のお友達かしら?」

A「...ぁ」

軽く頭を下げるAに
母と思わしき女性は構わずに話しかける

母「お見舞いに来てくれたの?ありがとうね。でも...娘はまだ...。なんでこんな事になっちゃったのかしら。こんな事になるなら...。朝はね、元気だったのよ...。...元気に...笑顔で出かけて行ったのに...なんで...」

母親の声は終始震え涙声になっていた
しばらく2人で横並びになり
黙って眠る女性を見つめる

少しすると控えめに母親の事を呼ぶ
中年男性が現れAに会釈した

Aも会釈し花束を母親に渡してから
その場を後にしようと背を向ける

母親「また来てあげてね」

A「...はい。また...元気になった頃に...」

病院の1階に戻ってきて
気分の悪さにトイレに駆け込む

怒りや嫌悪感、悲しみや同情
いろいろな気持ちがない混ぜになり
涙が滲むと同時に吐き気がした

荒い呼吸を落ち着けてから三ツ谷の所に戻れば
心配したような表情で頭を引き寄せられる

Aはされるがままに三ツ谷の肩に
額を預けもたれかかる

三ツ谷「だから言ったろ...」

A「うん..ごめん」

邂逅→←プロフィール



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (73 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
211人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

- 夢中で読んじゃいました!伏線の回収がすごい気がします!ストーリー性がはんぱないです! (12月19日 22時) (レス) @page28 id: 8589ec936d (このIDを非表示/違反報告)
くらら(プロフ) - れなさん» 最高に嬉しいコメントありがとうございます。自分なりに文章を試行錯誤中なので今後も書き方が変わっていくかもですが頑張って更新していきますね (2023年2月3日 14時) (レス) id: 1c45d362d0 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 最高に好きです、、文才天才すぎます、、良ければ更新してもらえると嬉しいです!!完結までついていかせてください!! (2023年2月2日 19時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
くらら(プロフ) - 麗さん» コメント+ご指摘ありがとうございます。読み返しているつもりなんですがやはりチェックミスが度々あってすみません。修正しましたので、また変換間違いがありましたら教えていただけると助かります。m(_ _)m (2023年1月26日 6時) (レス) id: 1c45d362d0 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 初めまして、一気読み最中です。 なんだか細かい所を初コメでお伝えしてしまうのが大変申し訳ないのですが素敵な物語な分勿体無いなと思うのでお伝えさせていただきますね。35ページの希咲と半間が~の所、稀咲ではないでしょうか? (2023年1月25日 22時) (レス) @page35 id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:くらら | 作成日時:2022年11月11日 3時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。