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考えている時間は無い。
瞬間目黒は、口を開いていた。
「○○様のご出身は、確か灘でいらっしゃいましたよね。酒蔵が有名ですが・・・」
目黒の突然の割り込みに、阿部は手を止めたが、とがめはしない。
この場の主役以外で唯一、口を開くことが許されているのだ。ならば。
「ねぇ、阿部くん。俺にそれ、一口くださいよ」
「目黒、」
たしなめる阿部の手がその猪口に届く前に、目黒は問題のそれを、己の手の中へと回収してしまう。
これで、阿部が酒を飲む可能性は限りなくゼロにちかくなった。
だが。
そう言ってしまった手前、とりあえずこの酒は目黒が飲まなければならなくなったわけで。
ま、いいか。
それが今回の、自分の仕事なのだから。
目黒はそのまま、「いただきます」と己の主人にならい、わざと慇懃無礼な笑みをうかべた。そして、半分ほど口に含む。
いきなり飲み込むようなことはしない。
く、と、口に含む。
その瞬間、激痛が喉を襲った。
灼熱とでもいえるような場違いな温度に襲われて、目黒は思わず喉を押さえた。
「目黒？！」
阿部が色を無くして目黒の名を呼ぶ。それに応えられず、目黒はとりあえず、手に仕込んでいたハンカチに、口に含まなかった分の酒をすべて染み込ませ、一瞬でそれをポケットに隠す。
もともとここまでが予定だったのだが、口に含んだだけでこの効果とは。そこまでバカなことをするとは思わなかったのだが。
「阿部、くん、取引」
なんとか顔を上げて阿部に伝える。
目黒のささやくような声に、阿部は自分がやるべき事を思い出す。
「すぐ終わらせるから。少しだけ我慢して。」
そう告げると、目黒の体をそっと抱き寄せ、自らに寄り掛からせた。
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優(プロフ) - ??o??i .さん» ありがとうございます！めっちゃ嬉しいです！朱�遒気鵑両�説もめちゃくちゃ好きなので、コメント頂けて嬉しいです！ (2021年1月4日 20時) (
レス) id: a7e52b77bc (このIDを非表示/違反報告)
??o??i .(プロフ) - 突然コメントすみません…！朱�遒任后�コメントから来ました！この作品の雰囲気、私の好みで一気に読み進めちゃいました…！笑これからも応援してます！ (2021年1月4日 18時) (レス) id: 48c6179bad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆ | 作成日時：2020年12月1日 13時
