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月雪、なんて中々に珍しい苗字。
しかし、知らねぇやつは居ないだろう。
月雪家という華族がある。
身寄りのない子供たちへの援助などから市民からの信頼も厚い。
なのに、その華族の最高権力者はまだ成人もしていない子供なのだ。
何故そうなったか。それは有名な話だ。
数年前、月雪家の本家に当たる屋敷が襲われたのだ。
運悪く、そこには月雪一家のほとんどが集まっていて。
広い屋敷全部が無残に荒らされたんだと。
全員死んだから犯人もわかんねぇんだと。
生き残ったのは別の屋敷に泊まっていた跡継ぎ息子だけ。それが今の最高権力者。
みんなそう言っている。
鬼殺隊以外は。
犯人などいるわけが無い。
何故ならそれは鬼にされた屋敷の使用人で、その鬼は俺が殺ったから。
俺が着いた時にはもう血の海で、残っているのは鬼だけだった。
俺は次の任務も迫っていた為、生存確認も程々にその場を去った。
救えなかったんだ。誰一人として。
屋敷の中を歩く度に、びちゃ、びちゃ、と聞こえる血の音が、今でも生々しく耳に残っている。
嫌な記憶が蘇り、俺は慌てて考える事を辞めた。
『…私、この苗字、あまり好きでは無いんです。』
ボソッと呟く女。
実「…なんで」
そう問うと、しまった、という顔をする。
まるで言うつもりなど無かった、無意識だった、と言うふうに。
『だって、この苗字お金持ちのイメージがあるじゃないですか。私なんかに似合わない気がして…』
まぁ確かに。有名な華族家と同じ苗字で、なおかつそれが珍しいとなると、窮屈な思いもするのかもしれない。
実「A、か。」
そう確認すると、何故か驚いた様な顔をする。
実「なんだァ」
『…その、名前で呼んでくださるから…』
そんな事か。わざわざ嫌な方で呼ばなくてもいいだろう。
実「嫌かァ」
『いえ!嬉しいです!…優しいんですね。』
優しい、か。
実「お前相当見る目がねぇよ。」
『そんな事ありませんわ!優しいです。…そうだ!貴方のお名前も教えて下さい!』
あぁ、そうだったな。
実「不死川 実弥」
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ロロ天Runa - ヤバッ、、、!最高ですね、はい、更新がんばってくださいね!!応援してます!! (2021年3月8日 20時) (レス) id: e8de5457df (このIDを非表示/違反報告)
yurirol0305(プロフ) - なしなつさん» 私も実弥さん最推しです!! (2019年10月31日 20時) (レス) id: 9e39a449bb (このIDを非表示/違反報告)
なしなつ - ハァァァァ尊い…!!不死川好きだわぁ… (2019年10月31日 20時) (レス) id: 737edd5ad9 (このIDを非表示/違反報告)
yurirol0305(プロフ) - 月さん» ありがとうございます!好きだと言っていただけて、嬉しいです! (2019年10月24日 0時) (レス) id: 9e39a449bb (このIDを非表示/違反報告)
月 - この作品が好きです。頑張ってください! (2019年10月23日 22時) (レス) id: 72108a1f6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:yurirol0305 | 作成日時:2019年9月29日 23時