第7話「名も無き少女」 ページ10
A視点
数分後
ドタドタとうるさい足音がいくつか聞こえてくる
4?……いや、5だ
5つの走ってくる音が聞こえる
青年に頼んで上体を起こしてもらう
そしてすぐに扉が勢いよく音を立てながら開かれた
バァン!
ぞろぞろと男たちが入ってくる
緑のフードを深く被った人
黒髪の赤いマフラーを巻いた人
青髪に眼鏡をかけた少しシワになっているスーツを着ている人
部屋を覗いてきた褐色の肌に金髪の人
そして、黒いスーツを着た金髪の赤い瞳の眼鏡をかけた人
(あれ?この人どこかで)
??「おい、ゾム!うっさいぞ!静かに開けれへんのか!?」
褐色肌の人が緑のフードを深く被った人を注意する
褐色肌の人に言われたくなかったのか緑のフードを深く被った人は反論するように睨みつける
??「あぁ、もうお前ら少しだけ落ち着け!!って、すまんな。騒がしくして。」
黒髪の赤いマフラーを巻いた人が私にごめんと謝ってきた
「い、いえ。大丈夫です。気にしないでください。」
私がそう言うと少しホッとした様子でふわりと笑った
??「うるさいっすよね。まぁ、安心してください。悪い人らやないんで。」
私のとこを気にかけてなのか青年がそう言ってくる
??「グルちゃん?さっきからなんも喋ってへんけどどうしたん?……グルちゃん?」
??「す、すまない大先生。少し……見惚れていた。」
??「は?グルちゃん、さっきからどうしたん?熱でもあるんちゃうん?大丈夫?」
心配されているグルちゃんと呼ばれる人はどことなく顔が赤く感じる
??「それより!なぁ!お前、なんであんな所おったん!?」
緑のフードを深く被った人は私に顔を近づけて聞いてきた
その質問の内容は何となくわかる
でも、その質問の意味がわかっているのか部屋の空気が少しどんよりしていた
男の人たちの目は、やってしまったという感じで伏せていた
「塔から逃げてきたんです。私は実験体です。初対面の皆さんにこんなことを頼むのは不躾かもしれませんがお願いです、私を助けてください。」
私は深々と頭を下げる
注がれる視線は色んな感情が乗っている
次発せられる言葉が怖い
??「あぁ、別にいいゾ。人1人匿うのくらい構わない。俺達が逃亡者を見放すことは絶対にしない。」
「いいんですか?こんな私を。どんな素性の人間かもわからない人を。」
??「構わないと言ってるんだから大丈夫だ。俺の名前はグルッペン。お前は?」
名前……か
「私の名前は
無いです。」
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作者名:ゆりな@ぼっちオタク | 作成日時:2019年8月13日 11時