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閉店時間から30分後、Aは息を切らせながら店にやってきた
しばらく黒猫を眺めていたが、自分には懐かなかったのが悔しいのか少し頬を膨らめていた
短い滞在時間
Aが礼を言って店を出ようとした時、右足を庇いながら歩いていることに気がついた
千冬
「足、怪我でもしたか…？」
A
「…慌てて来たから、ちょっと捻っちゃっただけ」
大人になって捻挫なんて恥ずかしい、と彼女はつぶやいた
千冬
「家、どの辺？
送ってく」
A
「ここから二駅しか離れてないし、タクシー拾うから大丈夫」
そう言うと、Aは店を出て行こうとするから、慌てて手首を掴んだ
千冬
「待てよ
送ってくって言ってんだから…
俺も最寄駅が二駅先だし、今日バイクで来てるから」
躊躇うAに、ちょっと待ってろと伝えて店の奥にヘルメットを取りに行く
人を乗せるなんていつぶりだろう…
A、今日はパンツスーツだったからバイク大丈夫だろうし…
ヘルメット渡して、俺は店の裏に置いてあったバイクをとりに行く
戻ると、Aは目を大きく見開いて、バイクに近づいてきた
A
「これ…
ゴキ…だよね…」
千冬
「ぁ、そうだけど…
バイク、詳しいんだ？」
そんな風には見えなかったけど、人の趣味ってわかんねえもんだな
なんて考えてた俺が間違っていた
Aはゴキの優しく触れると、急に涙声になった
A
「千冬っ…？このゴキ…圭介くんの…？」
千冬
「ぁ、そうだけど…
ぇ、なんでわかんの！？」
A
「だって…
ここに、私のイニシャルがある…
10年も経ってるのに、残ってる…」
千冬
「…ぇ…？」
そんなの、あったか？
場地さんさんから譲り受けて、かなり乗ったけど、気が付かなかった
Aが指差すところには、一見したらただのキズだけど、見る向きを変えるとイニシャルのようにも見える
A
「ちゃんと、圭介くんが免許とれる年齢になったら乗せれくれる、って約束してたの…
乗せてもらう前に彼は亡くなって、ゴキは後輩に譲ったって聞いてたんだけど…
また、会えたね…
千冬に大事にしてもらえて、君は幸せだよ
圭介くんも、きっと喜んでる」
まるで、小さな子供語りかけるように、Aはゴキとの再会を果たした
まさか、このゴキとAにそんな過去があったなんて…
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神奈月(プロフ) - 凍ったライムさん» ご指摘ありがとうございます。気付かずに申し訳ありませんでした。早急に対応いたしました。 (2022年9月25日 16時) (
レス) id: 4cb915c5c4 (このIDを非表示/違反報告)
凍ったライム(プロフ) - コメント失礼します、オリフラついたままになっていませんか？ (2022年9月25日 15時) (レス) id: 946d60cede (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神奈月 | 作成日時：2022年9月24日 15時
