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8-1 ページ17

Root side

健太さんに呼ばれて隣に行ってしまったAさん。
てっきり舞さんのところにでも行くかと思っていたから驚いた。
コーラに入れようもないミルクと砂糖は、きっと存在を忘れられているのだろう。


「忘れ物ですよ。」


そうやって手渡そうとしたが、僕の声に先に顔を上げた健太さんをみて、ほんの少しの対抗心が芽生えた。


「全部入れていいですか?」

「ふぇ?あっ、うん!お砂糖は全部入れる!ミルクは半分くらい!」


言われた通りに彼女のコーヒーに砂糖とほんの少しのミルクを入れてあげる。
当たり前にお世話をしてもらうことがやはり好きなようだ。


「…って、ごめん!自分でやれって感じだよね!」

「いいですよ。」


ハッとしたように身を乗り出しているが、それで焦ってまた溢しでもされた方が面倒だ。
というより、僕がやりたくてやっている。
ほんの少し縮まったと錯覚しているこの距離を見せつけるために。

きっと健太さんはAさん狙いなのだろう。
彼女がそれを把握しているかは別として。

マドラーでかき混ぜたコーヒーは、ミルクのおかげでほんの少し柔らかい印象を持たせていた。


「えへへ。ありがとう。」


僕のために向けられた笑顔に満足して、彼女から離れたところに座った。
健太さんがほんの少し悔しそうに僕を見ていたことに優越感。

それもわざとだ。

僕が作り上げたいのは、彼女と健太さんがうまくいく世界線のストーリー。
僕は当て馬。
たった一日の恋を、ほんの少し楽しみたいばかりに、物語を操作する。
そして、僕の曲になって生まれ変わる。
そんな仕事が趣味の僕の糧となってもらおう。

もし仮に、彼女の視線が僕に向いてしまったら、たった一日と決めた僕の決心はきっと揺らぐ。
でも、彼女は僕じゃない誰かと結ばれなくてはならない。
だってそっちの方が幸せになれるから。

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作品ジャンル:恋愛
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唯凛(プロフ) - 蝉-セミ-さん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけるように頑張ります!また見にきてくださるととっても嬉しいです(^^) (2021年12月5日 19時) (レス) id: 365f6982f1 (このIDを非表示/違反報告)
唯凛(プロフ) - みなさん» ありがとうございます〜!!ついに(?)新作出せました〜!宣言してからだいぶ経ちましたね…(汗) 相変わらずのんびり幸せの詰まったお話にしたいな〜と思いつつ、起承転結つけられるよう頑張ります! (2021年12月5日 19時) (レス) id: 365f6982f1 (このIDを非表示/違反報告)
蝉-セミ-(プロフ) - 好きです。(唐突)面白い上に文章が素晴らしくて尊敬します(´;ω;`)次の更新がとても楽しみです。失礼します。 (2021年12月4日 23時) (レス) @page13 id: 19d8717651 (このIDを非表示/違反報告)
みな(プロフ) - 新作おめでとうございます!そしてありがとうございます!笑 これからどんな展開になるのか…楽しみです!! (2021年12月4日 18時) (レス) @page13 id: 73aaf1c921 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:唯凛 | 作成日時:2021年12月4日 16時

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