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「お砂糖とミルクはいいんですか?」

「え?あっつ!」


溢さないようにと慎重に持ち上げたのに、突然話しかけられると思わなくてびっくりした拍子に揺れた水面。
コップから溢れたコーヒーが手にかかる。
さほど熱くはないが、驚きで思わず出てしまった言葉に颯太くんは慌てたように自分のコップを台に置いた。


「大丈夫ですか!?」

「あっ、平気平気!びっくりしちゃったけどそんなに熱くないから。」


カウンターにあるお絞りをいくつかとって腫れ物でも扱うかのように丁寧に濡れた手を拭いてくれた。
コップ二つ抱えて棒立ちの私。
床にこぼれた分も颯太くんが拭いてくれた。
歳下くんに何やらせてんだ私は。


「あっ、ごめ…。」

「そのままじっとしててください。僕がやりますから。」

「…ごめんなさい。」

「そのニット、真っ白なんですからコーヒーこぼしたら落ちないですよ。」

「面目ない…。」

「面目ないって。」


床を拭き終えてまた目線が上になった颯太くんをみたら、子供みたいに笑っていた。


「で、砂糖だけですか?ミルクも?」


最後に自分の手を拭きながらくるりと振り返る。
手にはスティックシュガーを持っていた。


「Aさん、甘いもの好きならいるでしょ?」

「なんで…。」

「ケーキ二つも食べたから。」

「それは颯太くんが…!」

「あはは〜。」

「…ミルクも欲しい。」

「はい。わかりました。」


両手が塞がっている私の少し前を歩いて、扉を開けて待っててくれる。
気の利く男の子だ。
顔もいいしモテるんだろうなぁ、と、今が合コンという集まりであることも忘れて思っていた。


「ありがと。」

「どういたしまして。」


部屋に戻れば舞の両側は埋まっていた。
私が戻ってきたことにも多分気付いてない。


「Aちゃん、おいで。」


健太さんに手招きで呼ばれ、誰かの視線が私に向いてることに安心する。
颯太くんが私の砂糖とミルクを持っていてくれたことも忘れて、呼ばれるがままに健太さんの横に座った。

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作品ジャンル:恋愛
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唯凛(プロフ) - 蝉-セミ-さん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけるように頑張ります!また見にきてくださるととっても嬉しいです(^^) (2021年12月5日 19時) (レス) id: 365f6982f1 (このIDを非表示/違反報告)
唯凛(プロフ) - みなさん» ありがとうございます〜!!ついに(?)新作出せました〜!宣言してからだいぶ経ちましたね…(汗) 相変わらずのんびり幸せの詰まったお話にしたいな〜と思いつつ、起承転結つけられるよう頑張ります! (2021年12月5日 19時) (レス) id: 365f6982f1 (このIDを非表示/違反報告)
蝉-セミ-(プロフ) - 好きです。(唐突)面白い上に文章が素晴らしくて尊敬します(´;ω;`)次の更新がとても楽しみです。失礼します。 (2021年12月4日 23時) (レス) @page13 id: 19d8717651 (このIDを非表示/違反報告)
みな(プロフ) - 新作おめでとうございます!そしてありがとうございます!笑 これからどんな展開になるのか…楽しみです!! (2021年12月4日 18時) (レス) @page13 id: 73aaf1c921 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:唯凛 | 作成日時:2021年12月4日 16時

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