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こ「…A?」
「あっ…う…」
すぐに手をはなし、何もなかったように自分の鞄を漁っている。
ヘアオイルでも探しているのだろう。
言葉にできないんじゃない。
人と関わる機会が増えて、いろんな人の顔色を伺って、僕が他の信頼している人と関わる場所を見て、躊躇した。
関わりが増えることの弊害か。
いいことのようで、今それを発揮されたくなかった。
ついつい甘やかしてしまうのはいけないか。
こ「A、おいで。」
ヘアオイルをつけながら、何を考えていたのだろうか。
僕の声にびっくりしたのか、一瞬驚いたが、すぐホッとしたような顔。
甘えるようによちよちと寄ってきてはぎゅっと抱きついてくる。
濡れた髪が少し冷たい。
こ「寒いから乾かそ。」
ぐりぐりと濡れた前髪を擦り付けるから、僕の肩口が濡れていく。
怖いよね。
それでも風邪をひかれては困るから、できるだけ距離を離さないように、Aをそばに座らせる。
ドライヤーを持ってこれば、明らかに嫌そうな顔をする。
カチリとオンにすれば、肩を跳ねさせる。
逃げそうなAを、両手が塞がってるからと足で挟み込めば、大人しくなるのは、少しは安心するからだろうか。
だったら髪、伸ばさなきゃいいのに、なんて思うが、ドライヤーの音では泣いたりなんかしないし、徐々に力が抜けていくのがわかる。
髪の通りがよくなり、手触りがいつも通りに戻ったところでドライヤーのスイッチを切る。
「怖い…。嫌い…。」
こ「ごめんごめん。」
手を広げればよじよじと登ってきて、ぎゅっと抱きついてくる。
寝かしつけるように背中を一定のリズムで叩く。
僕のシャワーはAがベッドに入ってからにしよう。
数分もすれば、もう寝ます、という状態。
抱きかかえてベッドに連れていけば、力なく右手が握られた。
こ「Aさーん、僕シャワー浴びてきていい?」
「ん…。」
小さく頷いたのを見て、右手からするりと手を離す。
去り際に振り返った時も目を閉じていたからと安堵し、シャワー室に向かった。
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唯凛(プロフ) - まきさん» コメントありがとうございます!只今異議申し立て中です…。まだ成長の段階ですが、どこかで進化と言える頑張りを夢主ちゃんが出来たらなぁ、と思ってます!見守ってくださると嬉しいです。リクエストありがとうございます!プリクラ!?今どきのプリ勉強してきます🥰 (2023年2月6日 10時) (レス) id: f00eb422ad (このIDを非表示/違反報告)
まき - 更新お疲れ様です!Twitter凍結大丈夫ですか…?早く溶けるといいですね🥲 夢主の頑張ってる姿を親のような目で見てしまいます…(笑) リクですか…めんばーやお友達とかとプリ撮りに行った…みたいなの見てみたいです…! (2023年2月4日 23時) (レス) @page37 id: e61b279a74 (このIDを非表示/違反報告)
唯凛(プロフ) - milkさん» コメントありがとうございます!そんなこと言っていただけるなんて光栄です(՞ ܸ. .ܸ՞)︎♡ 楽しんで頂けるストーリーが作れるよう、また少しでも癒しになれたら幸いです! (2023年1月11日 16時) (レス) id: f00eb422ad (このIDを非表示/違反報告)
唯凛(プロフ) - れんさん» コメントありがとうございます!!長いのに一気読みありがとうございます。めっちゃくちゃ嬉しいです!!無駄に長くなっていますが、飽きられないよう更新頑張っていきます(^ ^) (2023年1月11日 16時) (レス) id: f00eb422ad (このIDを非表示/違反報告)
milk - とても大好きで読み終わった今でも一気読みしてます...!帰ってきたら毎日読んでます☆! (2023年1月6日 16時) (レス) @page31 id: aba723ccaa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:唯凛 | 作成日時:2022年5月8日 16時