話したい14【桃】

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さ「口、少し開けて。」


自分の息すら跳ね返ってくるほど近い距離。
少し恥ずかしそうに開いた唇を噛みつくように奪う。
歯列をなぞれば、ゾワゾワするのか、肩が震える。
初めての感覚に逃げようとする腰を逃すまいと引き寄せてそのまま続けた。
絡め取った舌は、まだまだヘタクソに俺にされるがまま。
絡めてくるわけでもなく、逃げるわけでもなく、俺にされるがままなAちゃんに、なんだか支配欲が満たされる。


「んっ…ふぅっ…」


息継ぎも下手くそ。
漏れる声は奪われる酸素を必死で求めるほんの少し苦しそうな声。

あぁ、これヤベェ。

そう思ってもやめられず、彼女の後頭部を掴み、逃げる舌を追いかける。
理性が崩れているのを感じながら、そのまま漏れ出た本能に従って髪を撫でるように手を下に下ろす。


「んーっ！！」


思わず服の中に入れそうになった手を静止させたのは彼女の抵抗の声と俺の胸を離すように押す手。

まだ続けたかったが、その声でぐらつく理性がすんでのところで思いとどまったようだった。

全力疾走でもした後のように肩で息をする。
とろりとした目にそそられるが、経ち直した理性は仕事を果たしたようで、余裕な笑みが溢れた。


さ「まだまだだね〜。」

「びっ…くりしたぁ…。」

さ「どうでした？」

「〜っ！」


顔を真っ赤にしながら、先ほどまで襲う勢いだった俺に抱きついてくる。
それだけで拒否の色がなかったことがわかる。


さ「気持ちよかった？」


抱きしめ返して耳元で囁く。
相変わらず耳が弱いようで、ピクリと肩を揺らす。


「うぅ〜…。」

さ「今度はさ、もっとすごいことしよっか。」


頷きはしない。
けれど期待に揺れたようなその瞳を返事と捉え、最後に軽く唇に重ねた。


ー・ー・ー・ー・ー・ー
今年も読んでいただきありがとうございました。
ほんとうは時間軸ぶっ飛ばそうと思ったのですが、あんまり秋感出すのもアレだし、さとみくん出さずにいくのもなぁ…と考え直し、気がすむまでイチャイチャさせました。
こんな感じで糖度全開でいきたいです。
気がつけば話したいを書き始めて1年が過ぎ、長編は1年超えるなよ、とアレだけ自分に言い聞かせていたのに無理でしたね。これはズルズルコース。

年明けの更新はいつになるかわかりませんが、多分さとみくんは出ません。

来年も楽しくゆる〜く妄想していきたいと思います。
今年も1年ありがとうございました。
皆様良いお年を！

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