話したい14【桃】

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り「着いた！」


勢いよく立ち上がる莉犬に続き、みんなで立ち上がる。
その大きな振動と、抱き抱え直した振動のせいか、モゾモゾと腕の中で動きだしたAちゃんに視線を合わせると、とろんとした目で俺を見上げていた。


さ「起こしちゃった？」

「ん…ごめんなさい…。」


眠そうに目を擦りながら本日2度目の謝罪。


さ「寝てていいよ。」


きょろきょろと辺りを見渡したあとフルフルと首を横に振った。


「あるく…。」


おろして、と足を伸ばそうとすれば、身長のせいであっさりと床についてしまう。
そのまま腕を離して歩かせるが、そこまで千鳥足になっていないので大丈夫なのだろう。


る「歩けます？気持ち悪くない？」

「うん…だいじょおぶ…。」


降りても手は離さないまま、きゅっと握ってくる。
その手に愛おしさを感じるあたり、まだまだ彼女には敵わない。
大丈夫、といいながら、声をかけてくれたるぅとに反対の手を出して握れと強請ってるので、まだ酔いは全然醒めていない様子だ。
僕でいいの？というような顔のるぅとはそのままの視線で俺を見てくる。


さ「いんじゃない？寂しいんでしょ。ころんいないし。」


そう口に出せば、当たりだったらしく、るぅとに手を差し出したまま、俺の腕に顔を埋めてきた。
理由がわかってならば、とるぅとが手を握ってくれれば、嬉しそうに笑う。


「えへへっ。るぅとくん、ありがとう。」


向けられる笑顔に、言葉に、ほんの少し俺だけの特権がなくなってしまったようなのが悲しさを感じる。
顔に出てしまっていたのか、なーくんは呆れたように笑っていた。


り「あらあら、さとちゃんが嫉妬しちゃってますよ、Aさん。」

さ「ばっ！！莉犬おまっ、余計なこと言うんじゃねぇ！」


莉犬の言葉にきょとんとした顔で俺を見る。
見せつけにキスでもしてやろうかと思ったが、流石に今がその時でないことくらいわかって理性が働いた。


「嫉妬…？」

な「Aちゃんがるぅちゃんと手繋いでるからね。」

「ふふっ。変なの。いつものことなのに。」


片想いをしているかのように、その笑顔に胸を締め付けられる。


「Aが好きなのはさとみくんだよ？」

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