この運命は恋ですか？【桃】

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今まで、兄くらいしか"性"を考えて生きてこなかった。
学校ではにぃにが守ってくれていたし、職場はそう言った環境が整っている分、周りも性差に慣れている。
私もそうやって生きてきたから、案外簡単に職場に馴染めたんだと思う。
けれど、メンバーさんは何か違う。
性を感じてしまう。
莉犬さんは同性だから安心する。
ななもりさんとジェルさんはベータだから怖くない。
るぅとさんとさとみさんは、アルファだから怖い。

特に何も手を出してきてるわけでもないるぅとさんにこんな感情を持っているのは申し訳ないな、と思う。
それでも、莉犬さんが話してくれたことを思い出すと、アルファという存在が怖くなる。


「…でも、そのためにつけるんだもんね。」


独り言を呟いて、首元に触れる。
いつか、ここに誰かの噛み跡がつく。
首輪をつけることで、"同意のもと"の関係になる。
あのあと、色々なホームページで首輪を調べているときに見た言葉に、なんだかやけに納得した。

"首輪をつけたことで、オメガにも選択権があるんだって思えました。"

首輪を外す鍵は自分で管理する。
外していい、と思った時に外すものだ。
今まで、抵抗虚しく強制的に番われた人間がどれだけ居ただろう。

私が構えたことで、少し困った様に笑っていたるぅとさん。
何もしてないのに恐怖の対象になるなんて、当たり前だが気分の良いものではない。
自分でできることは自分でする。
自分の身を守るためにできる限りを尽くすことが、周りのためにもなるのだろうか。


ー・ー・ー・ー・ー
18時なんて残業に含まれねぇよ！！
ほぼほぼ定時で帰れるホワイト企業…いいなぁ。

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