この運命は恋ですか？【桃】

17-1 ページ30

A side

やっと仕事が終わった。
ヒートのせいで休んで溜まっていた仕事。
先輩たちもフォローはしてくれていたけど、思っていたよりも溜まっていた。
それでも、ヒート明け直後だからって18:00に返してくれる職場はホワイト以外の何物でもない。
これで残業1時間ちゃんとくれるからね。


「ただいま〜。」

こ「おかえり。お疲れww」


貰った鍵で扉を開ければ、にぃにがおかえり、って言ってくれる。
あまりにぐったりしてたからか、私の顔を見て笑ってる。
にぃにのその笑顔だけで守られている安心からか、ふっと疲れも飛んでいく。


こ「来てるよ。」


莉犬さんかな？
ガチャリとリビングの扉を開くと、莉犬さんとるぅとさんがいた。
ヒート期間は終わったのに、アルファがいるだけで思わず体が緊張する。
強ばったのがわかったのか、るぅとさんは困った様に笑った。


り「Aちゃん、おかえり。」

る「おじゃましてます。」

な「さとちゃんとジェルくんもうすぐ着くってー…って、お帰りなさい。」


ななもりさんも居たらしい。


「…ただいま？」


なんて返していいか分からず、思わず疑問系になる。


り「持ってきたよ。…けど先に着替えてくる？その服じゃ動きにくくてリラックスできないでしょ。」

「シャワー浴びてきてもいいですか？」

り「うん。ゆっくりしておいで。疲れたでしょ？」


気の回る人だな、と思う。
優しくて、気遣いができて、とても魅力的な人。
莉犬さんの優しさに甘えて、シャワーを浴びに行く。
荷物を取りにいくときにるぅとさんとすれ違ったとき、思いの外距離を取られた。
私も警戒してしまったから人のこと言えないけど…。
本来アルファとオメガって、こういう関係なんだろうな。
それでも、下手にベタベタしてくるさとみさんより、るぅとさんの方が向こうも警戒してくれる分楽な気がした。


「にぃに〜、ちょっとシャワー浴びてくる。ご飯あとで作るね。」

こ「ん。わかった。」

17-2→←16

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す