【wrwrd】もしかしてお前、転生初心者？

20 外へ ページ20

syp「何でクソ先輩が着いて来るんすか……」

『お、何さショッピ。孝行くんと仲悪いの？』

syp「悪いどころの騒ぎやないわ」

『へぇー』

絶対に会話すまいとでも言うようにずかずか歩いていくショッピを追い掛けながら訊く。何でだよ、孝行くんいい人じゃん。ちょっと声がでかすぎるだけで。ちょっと下ネタが多いだけで。

ci「待ってよショッピくん、A！」

kn「置いてくなや！！」

走って追い付いてきた孝行くんは、私と肩を組んでくる。

kn「いやぁ、ほんま大きなったなお前！こないだ会った時はまだ中学生のガキやったんに！！」

『二年しか変わってないでしょ』

kn「時が経つのは早いなぁ！！」

……ごめん、いい人だけど暑苦しいも追加で。

syp「Aが困っとるやないですか、離したって下さい」

kn「何やショッピもやって欲しいんか！」

syp「日本語通じてます？」

何やってんだこの人たち。呆れてため息をついていると、突如チーノに腕を引っ張られた。

『うわっ！？…どうかした？』

ci「食料品調達しよ」

『食料って……まさか、アレ？』

チーノが顔を向けた先にいる者たちを指差して訊くと、チーノは真顔で頷いた。………え？

『いやいやいやいや、アホなの！？私に野生動物を殺めろとでも！？無理無理無理絶対出来ない！！』

ci「ちょっと、静かにしとかんと逃げられるやろ！」

喧しいわ、んな事出来るかいな。自ら屠殺をするのは素人には厳し過ぎるって。うだうだ反論を述べる私の頭に、何かがずしりと乗っかってくる。

syp「でもAも食っとるやろ？俺らが生きてくためには必要な犠牲や」

『おいショッピ重い重い退け』

kn「しゃーない事やろ、生態系を壊さん程度なら問題あらへん。そのうち湧くしな」

『孝行くんってやっぱ心無いよね』

kn「…お前も大概変わってへんな」

うるさい、と言いながら斜面を登らんとしている羊たちの方を見る。と、羊たちがこちらをじっと観察しているような気がして目を凝らした。

『…ちょっとやりたい事があるんだけど。3人は絶対こっから動かないで』

ci「フリ？」

『違ぇーよ』

今だに孝行くんを睨むショッピ、何かを察してチーノを物理的に引き留める孝行くんを置いて、私は羊に駆け寄った。

〔…女の子？見ない顔ね。あの人たちと一緒にいたら、殺されちゃうわよ〕

羊…お前優しいな。

『んーん、大丈夫。あのお兄さんたちは私の友達なんだ』

会話を始めた私を見、後ろで3人が息を呑んだのが分かった。

21 狩らずに屠る→←19 経験値稼ぎ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す