・ ページ42
Side松倉
倉「んっ…」
目を開けた瞬間、目に入った部屋の明かりがまぶしくて思わず目を細める。起きた？と声がした方に、俺はゆっくりと顔を向けた。
如「松倉、気分どう？」
倉「のえ、る…！」
目が合った瞬間、俺の頭にステージを降りた瞬間の如恵留の顔が浮かんだ。飛び起きようとした俺の体を、慌てて如恵留が止める。
倉「のえるっ、ごめ、俺、ぶつかって、…あし、のえるのっ、」
如「足？全然大したことないよ。俺は大丈夫だから、ゆっくり息吐きな？また苦しくなっちゃう。」
俺は如恵留に抱きかかえられるようにして、深呼吸を繰り返すしかなくなった。何回もむせ返るうちに、目から涙があふれだす。
如「…怖くなっちゃった？」
少し呼吸が楽になってきたタイミングで、如恵留がつぶやくように言う。俺は、考える前に頷いていた。
倉「見られるの、怖いって、思っちゃったっ…」
如「そっか、」
倉「お、俺なんかが、ステージに立ってんの、ダメな、気がして。」
如「そんなことないよ。松倉はステージで輝く人じゃん。」
倉「でも俺、ゴミ…」
如「ゴミ？」
如恵留の眉が、ピクリと動く。その表情は、怒っているようにも悲しんでいるようにも見えた。
如「……誰が、そんなこと言ったの？」
俺は、答えなかった。言いたくなかったし、言わなくてもわかると思った。
如「松倉は、本当に自分がゴミだと思う？」
今度は答えなかったっていうより、答えられなかった。思っているとかいないとか、上手く言葉にできない。
代わりに俺は、こんなことを言ってしまった。
倉「…如恵留には、わかんないって。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 452人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雅 - ↓もしよろしければ書いていただけると嬉しいです。ご検討のほど宜しくお願い致します。 (2022年10月30日 21時) (
レス) id: 7d488f5410 (このIDを非表示/違反報告)
雅 - 赤が酷いトゥレットに苦しむお話。白目を剥いたり、身体が勝手に暴れたり、大きな声が出たり、意味のわからない声を出し続けたり、首振りが止まらず吐いたり。症状でストレスが溜まり、ストレスで症状が悪化する負のループ。友達も出来ず双子の黄だけが唯一の味方。 (2022年10月30日 21時) (レス) id: 7d488f5410 (このIDを非表示/違反報告)
こまち - そして貯めたお金で誕生日プレゼントを買おうとしていた。しかし何も知らない桃はその日も緑を叱る。そして翌日。プレゼントを買った緑はバイトを終え急いで帰ろうとし交通事故に遭う。病院に駆けつけた桃は冷たくなった緑と対面。全ての事実を知った桃は泣き崩れた。 (2022年10月26日 18時) (レス) id: e020254286 (このIDを非表示/違反報告)
こまち - 桃×緑(兄弟)のお話をお願いします。早くに親を亡くし2人で暮らす。弟の緑は最近夜遅くまで帰ってこず桃との関係はピリピリ。でも実は家計が苦しくても自分を養ってくれる桃のため学生の緑は複数のバイトを掛け持ち夜遅くまで働いていた。→ (2022年10月26日 18時) (レス) id: e020254286 (このIDを非表示/違反報告)
ぺえ(プロフ) - こんばんは！リクエスト失礼します🙇🏻♀️「やさしいひと」がすごく好きなので、同じ設定でまたお話書いていただきたいです！よろしくお願いします、おさと様のペースでこれからも更新頑張ってください、楽しみにしてます！ (2022年10月26日 0時) (レス) id: 8c7e5fe0be (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おさと | 作成日時：2022年10月16日 19時
