【おそ松さん】ガラスの猫は銀の月に落ちる３

７４松 ページ23

「まず最初に、実は父と母は私が生まれてすぐの頃に離婚しているんです」



初っぱなから衝撃の新事実発覚。
といっても、大体そんなとこじゃないかって予想はしていた。



「……単身赴任じゃなかったの？」

「はい、そこは嘘吐いちゃいました。レナちゃんと達也君がいましたから、重い空気にしたくなくて」



私は気にしてないんですけどね、と頬を掻いて困ったように笑うA。子どもに気を遣わせたくないという意見は、分からなくもない。



「それからは母が女手一つで私を育ててくれて、色々大変だったみたいです。生まれつき私がこの色だったから余計に」

「……えっと…、やっぱり差別とかあったの？」

「いいえ、それは割と少なかったです。腫れ物扱いされるのはよくありましたけどね。大変だったのは検査費用とかその他諸々のお金の方で…、アルビノってご存知ですか？」

「あー、時々生まれてくる白い動物とかだっけ？……Aってそれなの？」

「現時点ではそういう事になってます。確定ではないんですけど」

「…どういうこと？」



アルビノ。
人の場合は先天性白皮症(せんてんせいはくひしょう)と言うらしい。

劣性遺伝や突然変異によって生まれながらメラニンが欠乏していて、体毛や皮膚は白くなり瞳孔は毛細血管の透過により血が透けて赤く見えるのだと言う。

普通なら紫外線に弱く、視覚障害を持って生まれる事がほとんどらしいけど、Aの場合はどうも違うらしい。

　

「何度も検査したんですけど、メラニンの数値は平均値でしたし、紫外線も特に問題は無いみたいで…、それに日本人のアルビノではあり得ないんです。紫の目は」

　

ごく稀に青い目の外国人の中では生まれるらしい。
だけど、Aの両親は根っからの日本人。なのに何故この色なのか…。考えられる理由は――

　

「外国人との間なら…確率的には物凄く低いですけど、あり得ない話ではないそうです」

「……、もしかして離婚の理由って…」

「はい、母の事を疑って…。でも母は間違いなくあの人との間の子だって言ってました。結局信じてもらえなかったみたいですけど」

　

色素の理由がはっきりしていない故に、原因不明の病の可能性も考えられるという理由で、それからはずっと通院生活を送っていたらしい。

祖父母は養育については協力的だったそうだけど、それでもお金が掛かったり、周りの目を気にする事もあったりと、相当苦労を掛けていたという。

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