69松 ページ18
「(マジかよ、どうすればいいのこれ…)」
部屋の中を見ないよう壁に凭れ頭を抱えた。
中にいるレナちゃんをどうにかしなければいけないけど、無断でAの部屋に入る事なんてできる訳ない。
約二ヶ月この家で世話になって、それなりに距離は近くなってるとはいえ、異性の部屋に許可無く入るのは流石に抵抗が…。
だって以前から洗濯物は俺に気を遣って下着類だけ自分の部屋に干してるのを知ってるし、もしかしたら今それがあるかもしれないし。プライベートとかその他諸々を含めて色々まずい。…いやこの家そのものがAにとってのプライベート空間ではあるのだけれど、自室となればそれはプライベート中のプライベートだ。
けど放っておいたらAの部屋が散らかり放題になるかもしれないし。
……あ、別に中に入る必要は無いか。外から声を掛ければ部屋から出てくれるかもしれない。
「…レ…レナちゃん、人の部屋に勝手に入っちゃうのは良くないから、Aが帰ってくるまで待っていよう?」
「やー!」
また頭を抱えた。
やー、じゃねぇんだよ可愛く言いやがって。これは説教が必要か。でもこうなったらやっぱり中に入って止めさせるしかない。
まだかなり躊躇われるけど、仕方がない、これは仕方のない事なんだ。俺の本意ではない。出来るだけレナちゃん以外は目に入れないようにして入ろう。
深く息を吐いて、覚悟を決める。
「ねぇレナちゃん、やっぱり勝手に部屋に入ったらAに迷わ…く……」
部屋に足を踏み入れた瞬間、香りがした。
女の子の部屋ってシャンプー系のいい匂いがするイメージがあったけど、それとは全く違う。
古い民家ならではって感じの、線香の香り。
そして部屋の角にそれらしき物を見つけた。
小さな整理箪笥の上にコンパクトサイズの仏壇。そこに二枚の写真が立てられている。
吸い寄せられるように近付きその写真を覗き込めば、一枚には仲睦まじく肩を寄せている老夫婦が。
もう一枚には三十代か四十代ぐらいの長い黒髪の女性が写っていた。
黒髪の女性の顔は、Aによく似ていた。
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渚(プロフ) - 月花さん» 返信が遅れてしまいすみません。1でもコメントしたのですが、Azpainter2というPCソフトを使っています (2020年2月3日 20時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
月花 - 絵上手いですね。どうやってらんですか? (2020年2月3日 19時) (レス) id: a919e6fca7 (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - 森田菜々子さん» ご要望にお応え出来ず申し訳ございません…。今後ともよろしくお願いいたします。 (2018年9月4日 20時) (レス) id: d823623ddd (このIDを非表示/違反報告)
森田菜々子 - すいません;最新頑張って下さいね。 (2018年9月4日 20時) (レス) id: e772f145ae (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - 森田菜々子さん» えっと、それは短編小説のリクエストでしょうか?それですと申し訳ないのですが、小説のリクエストは受け付けておりませんので…。 (2018年9月4日 18時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:渚 | 作成日時:2018年1月14日 17時