片手のないあの子【東リベ】3 (ページ9)

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「はぁ、疲れた!!」

珍しくつなぎ姿のマイキーは疲れたとは言うが、笑顔でそんな風には見えない。

「どぉ?ケンチン、A」

「もうちょいもうちょい」

「これで最後」

ドラケンと一緒にそれぞれの最後の部品をつなぎ合わせる。

「ちょっとマイキー」
「エンジンかけてみろよ」

マイキーはキーを鍵穴に刺し、エンジンをかける。
そして、正常なエンジンがかかった音と本体が震える。

「かかったぁ!!!」

『よっしゃぁ!』

3人でハイタッチを交わす。

「ようし、さっそくアイツ呼んでくる！」

マイキーそう言って嬉しそうに駆けていった。

「真に教え込まれた知識がここで役立つとはな…」

「A、助かったぜ!」

マイキーとドラケンの笑顔の時点ですでに達成感がすごい。
そして、マイキーの言っていたアイツ…タケミチが千冬によって目隠しされながらやってきた。

「なんスか!!?」

「いいからいいから」
「千冬ーまだ離すなよ」

「了解っス」

「メッチャ怖いんスけど!」

「こっちこっち」

「ようし」
「0で目ぇ開けろよ!」

「さーん」

「にー」

「いーち」

「0!!」

それと同時にタケミチの目が開かせる。

「じゃーん!!」

マイキーとドラケンと協力して作っていたのは単車(バイク)、出来上がった今日タケミチにお披露目された。

「CB250T、通称"バブ"」

「マイキーのバブと双子だ」

「双子?」

マイキーは出来上がったバブに手をかけながら話し出す。

「昔、兄貴がフィリピンで拾ってきたんだ」
「コイツのエンジンと、俺のバブのエンジン」
「廃墟の中で悲しそうに転がってたって…」
「兄貴が言ってた」

「へぇ…」

「その内の一つを部品集めて蘇らせたマイキーのバブ」

「で!もう一個のエンジンほっとかれてたから」
「俺とケンチンでコツコツ部品集めて」
「やっと完成したのがコイツ!」

その時の情景が脳裏をかすめたのは言うまでもない。

「へぇ!!」
「なんか…ロマンがあるなぁ!!」

「だろ?」
「オマエにやる」

「…………え?」

タケミチは一瞬何を言われたのかわからない様子だった。

「東卍(ウチ)の壱番隊隊長が単車(バイク)持ってねぇなんて」
「カッコつかねぇだろ?」

「え…?でも」
「こんな大事なバイク…」

「飾っとくにはもったいねぇだろ?」