49-2 Nosaid ページ40
「たぶん、時期的に天竺の連中だろうな…」
ドラケンがぽつりとつぶやいた。
「でもA君ってあんなやられる人じゃないですよね!?」
「気候ののせいだよ」
近くのソファに座り込んで、組んだ手を握る力がこもるマイキーがいた。
「今日、一段と冷え込んでいたんだ」
「Aもいつも以上に着込んでいた」
その場にいる皆の視線がマイキーに集まる。
「乱闘があった場所は海の近く」
「さらに冷え込む場所だ」
「それに血痕が結構な広さで飛び散っていた」
「バッドとかでやられた可能性も大いにある」
「卑怯な手を当たり前のように使う連中だ」
「三ツ谷の見た血の量からしても相当な量を失っている」
ドラケンの言葉を最後に沈黙が訪れた。
お互い無言のまま数時間が過ぎて、漸く手術中のランプが消え、中から医者が現れた。
手術室からでた医者にみんなが駆け寄る。
「…手術は成功です、一命はとりとめました」
不安だった皆の表情が安堵に変わる。
「しかし…」と医者が言葉を濁したことで、安堵の表情が強張る。
「一命をとりとめたとはいえ、決して安心できる状態ではありません」
「彼は血を失いすぎており、今はぎりぎりを保っている状態です」
「今、輸血をしていますが、これ以上出血が増えると…」
医者の最後の言葉に誰もが俯いた。
エマに至ってはドラケンの胸を借りて泣いている。
「………最後の事は」
口を開いたのはマイキーで、視線がそっちに集まる。
「
「これ以上、皆を錯乱させないために…」
マイキーの提案に誰もが頷いた。
そして、エマが落ち着いたのを見計らってそれぞれ解散となった。
"覚悟しておいてください"
それが医者が集まった皆に告げた残酷な言葉だった。
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作者名：倖那 | 作成日時：2021年10月21日 20時
