片手のないあの子【東リベ】3 (ページ39)

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天竺の襲撃で怪我を負った三ツ谷は気晴らしに愛機(インパルス)を走らせていた。

「ん?」

ポケットに入れている携帯が震えたのを感じた三ツ谷は道路脇にバイクを止め、携帯を見るとAからの電話だった。

「…もしもし?」

「《…もしかして、バイク走らせていた?》」

「気晴らしに、だよ」
「で、どうしたんだ?」
「珍しいじゃん」

三ツ谷からAに連絡することはあっても、Aから三ツ谷に連絡するのは連絡事項以外では珍しい事だった。

「《迎えきてくんね?》」

「はぁ?」
「どこに?」

「《えー…っと》」

いる場所がわからないのか言葉を濁すAに眉を顰める三ツ谷。
漸くでたAのいる場所は今から飛ばしても2,30分はかかるであろう場所だった。
なんでも昔馴染みに出会って、置いていかれたそうだ。

「(どんな昔馴染みだよ…)」
「わぁったよ」
「場所的に寒いだろうが、そこから動くなよ」

「《悪ぃな、タカ…》」

三ツ谷は電話を切るや否や、すぐにAのいる場所へとバイクを飛ばした。
寒いのが嫌いなAの事を気ィ使って、最短ルートかつスピードを上げていく三ツ谷。
30分もしない内に着いた場所で三ツ谷はAを探す。
倉庫が立ち並ぶそこをバイクで照らしながら進む。

「ん?」

ライトで照らしたある場所に血痕が飛び散っており、左右にライトを向ければ、大量の血痕の痕が見られた。

「(抗争の後か…?)」

警戒を強めながらすすむと、徐々に血痕が道案内してくれていた。

「(まさかな…)」

嫌な予感がよぎる中、血痕の先をライトで照らせば、探していた人物が倒れていた。

「A!!!?」

バイクをその場に止め、Aの下へ駆け寄った。

「オイ、A!!!」

三ツ谷は抱き上げた際に感じた滑りで頭からも血が流れていると察した。
すぐに救急車を呼び、待っている間にマイキ達にも連絡した。
マイキー達と三ツ谷が合流したのは緊急手術室の前だった。

「三ツ谷!!」

焦ったように現れたマイキーにエマ、ドラケン、タケミチに千冬だった。
三ツ谷はここまでの経緯を皆に話し、手術が終わるのを待っていた。
タケミチと千冬はどこか悔しそうに、エマはドラケンの服を握りながら泣いていた。