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「げ〜……なんでお前がいるわけ」
知らない連中と集団行動なんて絶対嫌だ！そう思って、こっそり抜けてきたのはいいけど……。
「な、何でって……別についてきたわけじゃ……」
「じゃあ勝手にどーぞぉ。早く出てってくんない？」
「……っ分かったよ」
本人の独特な喋り方も相まって、銀髪の男子──確か古染とか言ったっけ──の言動に、思わずイラッとしてしまう。
全く、なんなんだこいつは。不満を抱きつつ踵を返そうとした時。
「わあっ！」
「ひいぃっ！？」
振り返った瞬間、カスミちゃんが目の前に立っていた。いつの間に……！？
「あっはっは！なんて顔してるの、乱烈くん」
からからと笑う彼女に、俺の中に募っていた苛立ちが更に増幅する。
「な、なんだよ……急に出てこないでよ」
「ふふ、ごめんね。誰か来てるって思ったら、驚かせずにはいられなくなって」
「あ〜、急に姿消したのって、ソイツが来てたからかぁ」
古染さんが思い出したかのようにひとりごちる。
「そういうこと。で？なんだったっけ？狩くん」
「タブレットぉ。ちょーだいってばぁ」
「ああ、そうそう」
気怠げに片手の掌を差し出す古染さんに、カスミちゃんがどこからともなく取り出した黒いタブレットを渡す。
「これでいいかしら？」
「うん、これぇ。いつも使ってるヤツ。覚えてたのぉ？」
「当然よ。だって狩くんってば、私が遊びに行った時タブレットばっかりいじってるんですもの」
「ばっかりじゃないよぉ？ゲーム機も使うしぃ。カスミちゃんと普通に遊ぶ時もあるじゃ〜ん」
「まあ、それもそうね」とカスミちゃんが会話を終わらせ、俺の方へ視線を移す。そして、あっという顔をした。
「乱烈くんにはこれがないと！」
「え、ちょっ何……」
言うが早いか、いつの間にやら俺はペンと紙束を手に抱えていた。
「乱烈くんは小説ばっかり書いてるんですもの。今も小説のことしか考えてないでしょ。そしたら当然、書くものがなきゃ困るよね」
「えっ……あ、うん……ありがとう……」
突然の気遣いに困惑する。驚かせたり急に気を利かせてきたり、何よりも一番疑問なのはわざわざ夢に連れ込んで閉じ込めたことだ。
何がしたいんだよ、この子は。
「へえ、柳矢くんってぇ、小説書いてんのぉ？」
タブレットの電源を入れながら、横目で古染さんが俺を見やった。
「そうよ。わたしも何度か見させてもらったけど、まあ小説家になるにはまだまだ及第点ってところかしら」
俺が答える暇もなく、カスミちゃんが言った。
全く、なんでこの子はいつも上から目線なんだよ。
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